事例紹介

DXで酒造業の未来を創る~安心な労働環境を実現するために~

提供:古伊万里酒造有限会社

佐賀県では、県内企業に対するDXの取り組みの一環として、 DXアクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、 最終的には、企業自らが自走して DXを進めることができるようになることを目指しています。

DXを進める理由について

DX アクセラレータ

まず、御社の概要について教えてください。

前田社長

「古伊万里 前(さき)」の日本酒をメインとした酒造です。創業は明治時代にさかのぼり、100年を超えて伊万里の地で活動させて頂いています。売上高は、コロナ禍で減少していますが1億円を超えており、出荷本数は年間5万本ほどです。佐賀県内の酒造の中では中規模に属すると思います。

DX アクセラレータ

4代目にあたる前田社長がお考えの経営に関しての現状認識と課題を教えてください。

前田社長

日本酒造りは、毎年毎年、同じ味・品質を維持していくことが求められます。ワインがぶどうの出来によって味わいが変化することが許容されているとのは違いますね。また、酒税の点からも、正確な在庫管理等が求められます。毎年の決算時期に把握すれば良いというわけうの出来によって味わいが変化することが許容されているとのは違いますね。また、酒税のではなく、毎日の在庫管理が厳格に求められます。

DX アクセラレータ

そうなんですね。とても、精緻性・正確性がもとめられる業務ですね。

前田社長

一方で、それらの業務を担う人材確保が課題です。会社の近くには製造メーカー等による大規模な工場等があり、給与等の待遇面も良いです。自分たちの会社ではなかなか出せない待遇で、競争優位性が劣ります。「伝統ある美味しい日本酒を作ることに関わりたい!」という若者は確実にいて、その人材が安心して働ける環境や待遇を実現することが課題感としてあります。

DX アクセラレータ

なるほど。今回のDX伴走支援を受けようと思われた理由はそのあたりにあるのですね。

前田社長

そうです。業務のDX化で業務効率化を図り、少人数でも対応できる体制を構築した先には、収益性を向上させることによる、従業員の給与等の待遇を向上があります。

DX アクセラレータ

DX伴走支援がスタートする前も、業務改善には取り組まれていましたか。

前田社長

はい。例えば、樽の温度管理をスマホで確認できるような仕組みを導入したり、敷地内のどこででもスマホで色々な情報確認をできるようにWi-Fiを整備したりしてきました。

DX アクセラレータ

デジタルへの慣れ、はあったのですね。

前田社長

はい。いろんな勉強会や知人から、DXの重要性は聞いていて、デジタル化の流れを更に進めたいなーと思っていましたので、今回のDX伴走支援はちょうど良いタイミングでした。

DX 伴走支援の内容について

DX アクセラレータ

今回のDX伴走支援では、どのような取り組みを目指されていますか。

前田社長

DXを進める3つのテーマを、私が中心となって選定しました。

在庫管理の効率化
② 社内コミュニケーションの効率化
③ 既存システムの有効活用化
です。

DX アクセラレータ

この3つのテーマの改革が、究極的には従業員の皆さまの待遇改善に寄与する、とのことですね。①在庫管理をテーマに選ばれた理由は何でしょう。

前田社長

先ほどお伝えした通り、毎日の在庫チェックが必要です。酒の種類や工程別に各々の数を成して実施しています。
チェックする業務は大変です。積みあがった酒瓶を目視して、手書きのノートを何種類も作成して実施しています。管理業務の基礎部分であり、改善が進めばDX化への象徴的な出来事になります。

山と積まれた在庫たち。発送 待ち在庫もある。これらの在 庫を毎日1本単位で管理して いるという。酒税法の観点か らも、1 本の差異も許されない。 正確な管理が必要。
山と積まれた在庫たち。発送待ち在庫もある。これらの在庫を毎日1本単位で管理して
いるという。酒税法の観点からも、1 本の差異も許されない。正確な管理が必要。
DX アクセラレータ

社内コミュニケーションを選ばれた理由は何でしょう?

前田社長

社内約1000坪の敷地の中に、従業員約10名が点在しています。製造・販売・管理・営業の分野で各々の仕事をしているわけです。他の部署との連携が必要な業務も多いのですが、その連携は口頭で行っています。それだと、時間的なロスや業務ミスにつながったりするので、改善が必要と思いました

事務所での事務作業
事務所での事務作業
作業場でのラベル貼付作業工場での製造
作業場でのラベル貼付作業
工場での製造
工場での製造
DX アクセラレータ

既存システムを選ばれた理由は何でしょう?

前田社長

導入しているシステムには、販売側(商品)の在庫管理機能と製造側(貯蔵品)の在庫管理機能があるのですが、利用しているのは販売側の機能だけでした。製造側の機能は利用せずに手書きのノートを作成して行っています。販売側と製造側の在庫管理の連動により更なる効率化が出来るのではないかと思いました。

実際の手書きノートを手に説明する前田社 長
実際の手書きノートを手に説明する前田社長
DX アクセラレータ

この3つの分野での業務改善をこれから進められていくわけですが、ここまでのプロセスを振り返ってみて如何でしょうか?

前田社長

非常に満足しています。
3つのテーマを選ぶ前提として、現状の業務フロー全体をぱっと俯瞰できる資料を作成してもらいました。このような資料は、社内メンバーの会社理解に役立つだけではなく、外部の方々への説明資料にも有益です。今後、副業人材の活用が広がり、自社でも専門領域で活動いただくこともあると思いますが、その際に自社のことを簡単に説明することが出来ます。
そしてこの資料は、会社の課題の発掘やその優先順位の判断に有益でした。全体を俯瞰して思考することの大切さを実感しています。
外部の方の力を借りることの有益性は、こうした客観的・全体的な視点を与えてくれるところにあるのだなと実感しています。

DX 伴走支援によるヒアリングで可視化された業務フロー。各々の業務が棚卸しされ、問題点の共有・発見に非常に有益。
DX 伴走支援によるヒアリングで可視化された業務フロー。各々の業務が棚卸しされ、問題点の共有・発見に非常に有益。

会社の将来構想について

DX アクセラレータ

光栄です!
これから、御社はどのような方向を目指されていくのでしょうか?

前田社長

これまで地元の伊万里で100年を超えて事業を継続させて頂いています。その意味では、「古伊万里」を守っていく使命があります。
これからの100年も、この伊万里の地で変わらず「お客様に笑顔で飲んでいただける日本酒」を創っていきたいです。会社を大きくする方向ではなく、継続して、安定して、おいしい日本酒を提供していくことを目指しています。

DX に関する目標設定と実現計画
DX に関する目標設定と実現計画
DX アクセラレータ

御社は、売上の20%近くを海外で展開されています、あくまでも製造の基礎は伊万里を中心に据えて活動していくということですね。
社長の方向性にDXアクセラレータメンバーはとても共感しています。今後ともご一緒にプロジェクトを進めてまいりましょう。本日はありがとうございました。

R4年度アクセラレータ事業受託会社:NTTビジネスソリューションズ株式会社 

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