
売上拡大を目指したBtoCへのブランディング戦略の実現
提供:農業生産法人株式会社Agrish
農業生産法人株式会社Agrish様ではトマトの生産を行っており、数多くの賞を受賞され、生産するプロダクトは現在高い評価を得ています。そんな中、今後の売上拡大を目指した取り組みとして今回はデータを活かした顧客への広報戦略とブランディング施策としてSNSへの取り組みを実施しました。
今回の事業への参加のきっかけを教えてください
デジタルツール等が多く出回っている今、どのようなデジタルツールやサービスがあるのか深く知りたいということもあり、多くの情報収集を行っている中、今回、本事業への声掛けをもらった際に参加してみよう、と希望しました。
今回の支援・取り組みについて
まずは取り組みの基礎となる部分として社内の業務フローやビジネスフローの可視化、社内業務の可視化から取り組みを実施しました。各内容を細かく可視化していった結果、現状として各会計ソフトなどのシステムの適切な活用や連動などの点で大きな課題等は見られていない状況であったことや生産工程の知財化などへの取り組みや農園自体のデジタル環境整備やツールの導入に関して大きな改善を行うべき課題は見られませんでした。ですが、売上構成等の部分を分析した際に、BtoBを中心としており、今後の売上拡大やブランディングを目指すにあたってはBtoC顧客の開拓が必要になる状態があったため、今回はデジタルを活かしたBtoCに対する広報戦略の取り組みとして、これまで活用のなかったSNSの活用への取り組みを実施することに決定しました。
支援を受ける前までも、会社アカウントとしてInstagramアカウントを運営していました。ですが、このアカウントに対してBtoCへのアプローチや顧客基盤を増やすための取り組みとしてのレビュー数の分析やフォロワー獲得施策等の活用、定期的な投稿等の具体的な活用はない状態でした。
そこで、まずはこのアカウントに対して、今回の取り組みを通して、まずはプロアカウントへの切り替えを行い分析を行いました。支援開始時のフォロワーや閲覧数を分析したところ、フォロワーは260名、そのうち60%が男性、45~54%が35%といった数値となっていました。まずは、商材の特性や今後の販売拡大を目指してメインとなる客層をイメージした取り組みとして、アカウント自体を『会社をメインとしたアカウント』から『商品をメインとして押し出すアカウント』へと変え、メインターゲットを美容、健康に興味がある女性向けに変更していくための取り組みを実施しました。また、ハッシュタグやプロフィールの文章、アカウント名等を現在のSNS市場でのトレンドやハッシュタグごとの投稿数に沿って修正し、どのような内容が世間では着目されているのか、データの分析を行ったうえでの投稿を実施する、といったアカウント自体の基礎部分の整備から実施したほか、実際のサンクスページの作例の提供や作成方法の支援として画像編集アプリ Canvaの使い方のレクチャー、ストーリーズやリール動画に対して効果などを説明したうえで投稿の方法などのレクチャーや、アイコンの世界観の統一等、SNS活用して、『いかに顧客基盤となるターゲットに見てもらうか』『自分で投稿等を実施していくためには何が必要か』といった内容を意識したアドバイスと取り組みを実施しました。これにより、支援終了時には社長が自ら情報を発信し、投稿ができる能力を身に着けることができました。結果、このような定期的な投稿や、社長自ら発案してもらったトマトに関しての豆知識を発信する『トマトーク』の投稿を実施したところ、レビュー数に関しても8月から比較しても11月時点で3倍となり、最終的にはフォロワー数も27%増となり、新たな顧客基盤の開拓としてのSNS活用の効果を実感することができました。
DXについて
DXは概念であり考え方だという認識なので、これがDXだ!という定義されて決まりきったものは特にないと思っており、バックオフィスのクラウド化や農業・農園の方へのデジタルの取り組みは支援開始前からしっかりと取り組んでいます。
そんな中で、デジタルやデータを活かして売上拡大等を目指す取り組みとして、今回は特にSNSに対する取り組みを実施することになりました。
DXについては、今や多種多様なサービスがあり、自社でのプラットフォーム構築というものはなかなか取り組みを思いつくものではないと思っています。既存サービスを活用するにしてもすごく多くのサービスがあり、その中から何をチョイスするべきなのかという部分は最新情報を常に追うこともなかなか難しい部分ではあるので、今後も改善へ取り組み等は行っていきます。
SNS活用について
支援開始前はSNSというと、すごく情報があふれかえっているので、取り組むにあたっては少し目を引くようなことができる取り組みが必要と思っていました。今回の支援を通して、BtoC向けの顧客獲得のための戦略として取り組みを行い、フォロワー数を増やしていく取り組みを実践し、これまで活動を行っていなかった層の方々に自社の製品についてを新しく知ってもらうことができ、とてもよかったです。今後もブランディングと顧客基盤という点でもこのような取り組みは実践していきたいです。
今後デジタルやDXを活かしてやってみたい事はありますか
今は特許庁の支援等を入れて農法の確立等の取り組みを実施していますが、現在内閣府と衛星事業等の宇宙産業技術を農業に取り入れようという取り組みを実施しています。この取り組みでは衛星から入手する気象データ等を活用し、気象の変化をあらかじめ先取りして予測し、それに沿った取り組みで、例えば、水をあげるにも晴れの日にあげるべき水の量と曇りの時にあげる水の量は異なります。水をあげたときに晴れていても、水をあげてからすぐに曇ってしまっては、水のあげすぎになってしまいます。このような事態を事前に予測し、対処できる農業を実施するために、データやデジタル活用していきたいです。
また、今回取り組みを行ったSNS等の取り組みに関しては、現状のトマトの生産量には限界がある状況なので、BtoCへの販売を急拡大することはできないのが事実です。
今後は、今回の取り組みによって習得した投稿のためのノウハウなどを活かし、BtoC向けの戦略としてのSNSのブランディングを実施していきつつ、生産量等を増やして拡大していったときに、自社の生産する製品を『知ってもらえている顧客層』を作る面でも、取り組みは行っていきたいと考えています。
(企業概要)
企業名:農業生産法人 株式会社Agrish
住所:〒847-0122 佐賀県唐津市唐房4-4782-21
事業内容:高糖度トマトの栽培・販売
R6年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社フォーバル九州支社