事例紹介

業務改善DX 現場の生産性を上げて新規取組へ

提供:大登建設工業株式会社

RYO-FU BASEでは、県内企業に対するDXの取り組みの一環として、DXアクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、最終的には、企業自らが自走して DX を進めることができるようになることを目指しています。 今回は、大登建設工業株式会社の取り組みについてインタビューしました。

DXに取り組むきっかけ

大登建設工業株式会社は、昭和39年に設立された船舶製造、造船配管、鉄鋼構造物制作を主な業務とする企業です。従業員数45名の中規模企業ながら、長年にわたり地域の産業を支えてきました。
しかし、デジタル化の波が押し寄せる中、当社は一部の業務のデジタル化に着手はしていたものの、多くの業務がアナログベースで行われていました。業務効率化の必要性を感じつつも、具体的な取り組み方がわからず、手つかずの状態が続いていました。
そんな中、佐賀IDCから佐賀県が推進する「DXアクセラレータ事業」の話を耳にし、外部の専門家の支援を受けながらDXに取り組む絶好の機会だと考え、参加を決意しました。

取り組みの概要

現状の業務把握・課題整理
DX推進の第一歩として、製造現場の見学を実施し、業務プロセスの可視化と課題整理を行いました。業務フローを図解化することで、各プロセスにかかる工数が明確になり、改善すべき点が浮き彫りになりました。
優先順位をつけた結果、最初に着手すべき課題として、紙ベースで行っている作業日報の記入プロセスが選ばれました。作業日報記入の後には、さらに別の用紙や複数のエクセルに転記する業務もあり、この業務のデジタル化・自動化により、大幅な効率化が見込めると判断されたためです。

ツールテスト導入
作業日報入力の効率化を図るため、ツールを調査し、ベンダーとの打合せを行いました。ツール選定においては、以下の点を重視して進めました。

1.費用対効果
削減できる工数に見合った金額であること
2.操作性
デジタルツールに不慣れな現場スタッフや外国人スタッフも利用しやすいこと
3.サポート体制
ツール導入時だけでなく、運用の際にも親身になってサポートしてくれること
4.網羅性
作業日報入力だけでなく、その後の集計業務プロセスも自動化できること

その結果、以下4つのツールを候補としてテスト利用、比較検討することになりました。
□候補ツール/利点
(1)Excelマクロシステム
使い慣れたエクセルでコストをかけず、小さくスタートすることができる
(2)Google AppSheet
ほかのGoogleツールとの連携ができる
(3)kintone
視覚的に使いやすい操作性がある。他業務も1つのプラットフォームで自動化できる
(4)ミライのゲンバ
タブレットへの手書きの記録をタイムリーにデータ化でき、現状の紙ベースのやり方と差異が少ない

上記(2)Google AppSheetや(3)kintoneのノーコード・ローコードツールは知名度も高く、聞いたことはありましたが、実際に使ってみるとそれぞれの良い部分や自社に合わない部分などが良く分かりました。また、調査をする中でAI搭載のツールなど、これまでになかった新しいツールが登場しており、色々な発見がありました。
今後、全てのツールのテスト結果を分析して、最適なツールを本格導入していきたいと思います。

今後の展望

生産性を上げて、時間を捻出
これまでに、勤怠管理システムの導入など一部デジタルツールを導入していたものの、なかなか有効活用ができておらず、生産性向上に結びつけることができているか不透明な部分がありました。
また、現在においては製造管理の事務作業に管理職の時間の多くを割いている状況です。
このDXアクセラレータ事業の取り組みや考え方を活かして、大登建設工業株式会社では今後は以下のようにテーマを整理して進めて行きたいと考えています。

DX後のビジョン
◇STEP1アナログ業務をデジタイゼーション/デジタライゼーション化
テーマ
(1)作業日報の記入/集計のデジタル化による工数削減
(2)人事評価集計のデジタル化による工数削減
能力開発の可視化につなげる
(3)日報データ利活用
データ分析をして定盤計画(計画に基づく場所の人員配置の最適化)や人事評価に利活用する
(4)グループウェア・コミュニケーションツールの導入
(業務連絡、緊急連絡、弁当注文など)
社内外とタイムリーにコミュニケーションを図る
社員スケジュールの見える化
◇STEP2
捻出した時間を活用して新たな取り組みを行う
テーマ
(1)
新規顧客開拓を行い、自社工場の稼働率を上げて
売上・粗利UPを図る。
(2)新製品開発・販売
船舶製造以外の B to C製品の開発・ECサイト販売など
(3)DX推進担当の育成
外部コンサルやITベンダーと対等に話ができる、企画
力のある人材育成・教育

DXは一気に実現できるとは思っていないので、まずは確実に作業日報のデジタル化を進めて行き、各製品の製造工数の過去対比や作業員の生産性の分析し、データ利活用の機会を増やしていきたいです。また、DXの自走ができる人材育成の土壌を整備していきます。
ツール導入時には現場スタッフにも積極的に携わってもらい、運用管理などを少しずつできるようになってもらいます。DXは長距離マラソンのようなものです。一朝一夕には成し遂げられませんが、一歩一歩着実に進めることで、必ず目標に到達できると信じています。
本事業に参加したことで、外部の方から意見をもらったり、多方面からの情報収集で新しい視野を持つことができ、着実に前進していることを実感しています。


(企業概要)
企業名:大登建設工業株式会社
住所:〒848-0027 佐賀県伊万里市立花町1211-21

事業内容: 船舶製造(船体ブロック組立・溶接工事)など

R6年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社佐賀IDC/株式会社BottoK

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