
業務効率化と人材育成・雇用のためのDX
提供:笠原建設株式会社
昭和37年12月に設立し、創業60年を超える笠原建設。長年の業務の中で、効率化や人材育成といった課題を抱えていました。そこで、本事業に参加したきっかけや今後の課題について、同社グループ、ユタカコーポレーションの竹村さま、山口さまにお話を伺いました。

総務課長 竹村 正彦さま(写真右)
総務課 山口 希佳香さま(写真左)
笠原建設の企業概要
「笠原建設はグループ会社が7社あり、総勢221名の社員により笠原グループを形成しております。私と山口が所属しますユタカコーポレーションは、各種損害保険の取り扱いと共に、グループの経理総務をはじめ、情報システム系の管理を行っています。
笠原建設はグループの中心企業で、土木工事業、建築工事業などを中心に事業を展開しています」
DXに取り組むきっかけと課題
「昔からの習慣で、紙で管理する業務が多いです。何かあると報告書が回覧されたり。それが当然となっています。
実は、本事業に取り組むにあたり、グループでアンケートを行ったのですが、人材不足が深刻なことがわかりました。
笠原建設の今後のために必要な人材がいないと、そもそも企業として成り立たなくなってしまいます。そこで、若い社員の人材育成を進めなければならないですし、そもそも採用自体も見直さなければならないと考えるようになりました。現在、土木工事の現場で働く社員は30名ほどになりますが、『仕事は自分で覚える』という環境で今まで来ています。教える側の中堅社員が業務に追われて、人材育成の教育を受けられなかったことも課題のひとつです。
そして、現場では日報を毎日記入するんですね。それが、紙で書きつつ、同じ内容をExcelに入力し直している状態です。また、入力するExcelも10年以上前に作った古いフォーマットで、それをずっと使い回してきました。今にふさわしく、オンライン化やクラウド化すれば、社員みなで共有できる仕組みにできるのでは? と導入を検討しております。現場の業務改善ができれば働き方も変わり、それが雇用促進につながればと思っています。
また、人事データや勤怠データなどをクラウドにアップしたいと考えています。オンライン化することで給与システムと連動させたり……業務改善での希望は多いです」
本事業で取り組んだ作業
「現場の状況を調査したり、Excelのマクロを解析したりする中で、原価管理ソフトのデモンストレーションを6種類ほどチェックし、その中から良さそうな2種類を選び、役職者と現場の中堅社員などに確認してもらいました。笠原建設の業務は公共工事の割合が大半を占めています。ご存じの通り、公共工事の入札に当たっては積算が必要です。積算は営業が行い、落札後その積算データを元に現場担当が実行予算を作り原価管理をする。その積算データから原価管理までのデータを全てつなげることができて、なおかつ笠原建設の既存のデータとリンクでき、現場の社員が使いやすそうなソフトを2種選択しました。
そもそも10年ほど前にデータをExcelへ入力する形にしたのは、原価をどこまで消費しているかを確認するためです。また、笠原建設はISOに取り組んでおり、現場で仕入れた材料が品質通りのものかをチェックする必要があったため、日報として紙で記入し、日報と同じ内容を改めてExcelへ入力している現状で、作業は二度手間です。それを新たな原価管理ソフトで一括管理したいと思っています。
また、Kintoneも導入したいと考えていますが、人事データの管理や、既存のExcelで作成している業務などに利用できるのではと想定しています。新たな原価管理ソフトもKintoneも、まだ実装には至っていませんが、DXを進めるための1つのステップだと思っています」
今後の展望
「アンケートや社内業務の見直しなどを通じて、現場と我々の間でDXについての意識に乖離があると思いました。現場は今を変えて欲しくないと思っています。まずその意識の違いを埋めるところから手を付けていかなければならないと考えています。
大切なのはコミュニケーションじゃないでしょうか。コミュニケーションについては、すでにLINE WORKSを利用しています。ただし、デジタルのコミュニケーションには限界があるので、大事な所は顔を突き合わせてお互いの意識合わせをする必要があると思います。まずは上層部と中堅社員とのコミュニケーションを密に取ればDXは進むでしょうし、中堅社員と若手社員の間でも同じ事が言えると思います。そして、新しい原価管理ソフトやKintoneと平行して、LINE WORKSも上手に活用していきたいですね。
今回の事業では、成果というよりは笠原建設の課題点が洗い出されたと思っています。事業が終了したあとも、引き続きDXに取り組んでいこうと思っています。プロジェクト体制を組み、どちらかというと中堅社員をメインに今後も進めていく予定です。
本事業の開始前は、業務内容を社内でヒアリングして分析し、その内容をアプリに反映していけばいいだろう……と思っていましたが、現実は甘くないことを認識しました。それが私自身一番の進化だったなと思います。
バックホーとかショベルカー、車などはお金を出したら買えますが、人材は簡単に育たないし育てるにも時間がかかる。それだけ大変なことであり、早い時期から取り組まなければダメだと思います。社員の採用から育成計画、魅力ある人事評価制度、業務の効率化など、検討すべき項目は山積みで時間はかかると思います。しかし、若い人に活躍してもらえる環境作りのために、組織としてDX化を進めていきたいと考えています」
(企業概要)
企業名:笠原建設株式会社
住所:〒847-0832 佐賀県唐津市石志4459番地1
事業内容:土木工事業/建築工事業/とび/土木工事業/管工事業/ほ装工事業/しゅんせつ工事業/造園工事業/水道施設工事業/解体業
R6年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社ワクフリ