
“攻めのDX”で「佐賀の⾚酢」を世の中に広めていく
提供:株式会社HONZAN
RYO-FU BASEでは、県内企業に対するDXの取り組みの⼀環として、DXアクセラレーターとして伴⾛することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画⽴案を⽀援しており、最終的には、企業⾃らが⾃⾛して DX を進めることができるようになることを⽬指しています。今回は、株式会社HONZANの取り組みについて、本⼭様にインタビューしました。
DXを進める理由
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DXアクセラレータ
はじめに、貴社の事業概要を教えてください。
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本山様
HONZANは、地域資源を活⽤した商品の企画開発・製造販売を⾏う会社です。現在注⼒しているのは、佐賀県内の酒蔵の酒粕を有効活⽤してつくる「佐賀の⾚酢」を、ブランド化するプロジェクトです。まずは「佐賀の⾚酢」を地域ブランドとして広め、そこからそれぞれの酒蔵の名前を冠した⾚酢を商品ブランドとして確⽴していこうとしています。
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DXアクセラレータ
なぜ、「佐賀の⾚酢」プロジェクトを始めたのですか?
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本山様
私は兼業農家でもあります。地域の農家さんとの関わりの中で、「農業は儲からないから、⼦どもに継がせたくない」という声を聞くことが多く、課題を感じていました。その状況を打破すべく、佐賀⼤学⼤学院の夜学で、農業分野の地域リーダー育成コースを専攻したのです。
そこで多様な⼈々と共に学ぶことで、地域の社会インフラとしての農業の重要性に気付き、地域全体の農業者の所得を上げていかねばならないと考えるようになりました。それから、⾃分たちが⽣産するお⽶の新たな販路を開拓する中で、酒蔵さんとの出会いがあり、⽇本酒製造の副産物である酒粕を有効活⽤する⽅法として、⾚酢に⾏き着いたのです。
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DXアクセラレータ
DX伴⾛⽀援事業に参加を決めた経緯をお聞かせください。
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本山様
HONZANは、いわゆる「1⼈社⻑」のスタートアップです。営業活動はもちろん、⾚酢の在庫管理や問い合わせ対応、出荷作業もすべて私ひとりで⾏っています。「佐賀の⾚酢」ブランドをもっと広げていく活動もしたいのですが、なかなか⼿が回らず限界を感じていました。DXは時代の流れとしても気になっていたのですが、私はアナログ⼈間なので何から始めればいいのか、わかりません。それに、DXはある程度の規模の会社が⾏うものだと思い込んでいました。
そんなある時、佐賀県のDX 関連のインタビュー記事で「アナログな⼈、⼩さな会社こそ、DXをやるべきだ」という⾔葉を⽬にしてハッとしたのです。リソースが限られているスタートアップこそ、DXの恩恵を受けられるのではないかと考え、佐賀県に話を聞きに⼊ったところDX伴⾛⽀援事業を知り、参加を決めました。
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DXアクセラレータ
1⼈だからこその限界を感じていらっしゃったのですね。
それまで、ITツールの活⽤などDX化の取り組みはしていましたか?
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本山様
何度か勉強会に参加して、話題になったツールは少し触ってみることはありました。しかし、そもそもデジタルリテラシーがあまり⾼くないため、使いこなすことができず、やがて触らなくなるという繰り返しでした。
DX伴走支援の内容
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DXアクセラレータ
DX伴⾛⽀援事業では、ビザスクのデータベースから専⾨家を何名か紹介して1⼈に決めていただきました。その理由をお聞かせください。
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本山様
DXに関する課題やニーズを的確に捉えていただけそうだと感じたからです。デジタルの知識が浅い私は、⾃⾝が抱えている課題をうまく説明することができません。いわば、「何がわからないのか、わからない」状態です。そこから課題を⾔語化して整理し、解決まで伴⾛してくださる⽅かどうかを重視しました。
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DXアクセラレータ
DX伴⾛⽀援事業の具体的な内容について教えてください。
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本山様
まずは、私が⼿掛けている業務内容を⼀つひとつ棚卸しして、何がボトルネックになっているのか、課題を洗い出していきました。その後、ベンダー選定のための商談を⾏い、ソリューションを⽐較検討しました。
その結果、クラウド在庫管理システム「zaico」の導⼊を決定し、運⽤を開始。要件定義も含め、⼀連の流れを専⾨家の⽅に⽀援していただくことで、私⾃⾝のデジタルリテラシーも向上したと感じています。
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DXアクセラレータ
「zaico」の導⼊によって、業務にどのような変化がありましたか?
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本山様
在庫管理をデジタル化することによって、煩雑な業務で仕事が進まないということがなくなりました。⾚酢の在庫は2 カ所で管理しているため、以前は在庫の問い合わせを受けたら、そのたびに仕事の⼿を⽌めて確認をしなければならなかったんです。それが「zaico」を導⼊後はリアルタイムで在庫の問い合わせに対応できるようになったため、余⼒が⽣まれ、仕事をスムーズに進められるようになりました。
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DXアクセラレーター
余力が生まれたということですが、その時間を活用して、どのようなことに取り組んでいますか。
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本山さん
事業やプロジェクトについて考える時間にリソースを割けるようになりました。「佐賀の赤酢プロジェクト」をスタートしてから、現在は認知も広がっていることから、色んな場所で活動内容などについてプレゼンテーションをする機会が増えています。そこで何をどう伝えていくのか、頭の整理をするのにかなり脳みそを使ってしまいます。以前は在庫問い合わせ対応などの業務にも脳のリソースを使わなければならなかったので、そういった創造的な業務にブレーキがかかってしまっていました。しかし DX に取り組むことで、事業拡大に向けた活動に振り切れるようになりました。
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DXアクセラレータ
いわゆる“攻めの DX”が実現できているといえますね!
今回の DX 伴走支援で、どのような気付きがありましたか?
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本山さん
意識変革ができました。以前は DX というと「システムを入れさえすれば楽になる」、魔法の杖のようなイメージを持っていました。しかし実際に進めてみると、単にシステムを導入するだけでは何も変わらないんだと気付きました。それまで漫然と行っていた業務に対する意識を、根本的に変えていく必要があったんです。これは、決して私1人では得られなかった気付きだと思います。
また、専門家のサポートのもと様々なデジタルツールを比較検討する中で、多様な選択肢の中からどのように自社に合ったものを選択していけばいいのかという視点を育むことができてよかったです。
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DXアクセラレータ
専門家の手を離れても、ある程度自走できる力が身に付いたのですね。
DX 伴走支援を受ける中で、苦労した点はありましたか?
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本山さん
ミーティングの回数が週に 1〜2 回と多く、時間を捻出することに最初は苦労しました。しかし、未知なることを始めるうえで、一時的に負荷がかかることは避けられないことです。ここで大変な想いをしたからこそ、今後の事業拡大に向けて前進ができたのだと思っています。
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DXアクセラレータ
新しいことにはストレスがかかりますが、未来へとつながる時間と労力の投資になったのではないかと思います。
会社の将来構想
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DXアクセラレータ
今回のDX化を踏まえ、今後の展望についてお聞かせください。
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本山様
DX については、今後も必要に応じてツールを取り入れながら、ある程度のタイミングになったら大きな投資をすることを考えなければならないと思っています。
事業については、まだ起業して日が浅く、組織もまだできていない状態です。今はまだ 1 人で走っていますが、今後は課題に応じて外部の人材を活用できるようにしたいですね。デジタルと人の力を借りながら、活動の幅をどんどん広げていきたいと思っています。
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DXアクセラレータ
最後に、DX伴走支援事業に参加を検討している企業にメッセージをお願いします。
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本山様
とりあえず、一歩踏み出してみてください。私もそうでしたが、DX は自分と縁遠いことだし、わからないから手を出せないと思っている方は多いと思います。しかし、わからないままでは、そのまま状況は変わりません。1 人で起業したばかりの私がデジタルツールの活用を決めたように、事業のステージも関係ないと思います。わからないなら、まずやってみることをお勧めします!
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DXアクセラレータ
DX伴走支援によって、事業拡大にリソースを割けるようになったこと、嬉しく思っています。本山様の精力的な活動を今後も楽しみにしております。本日はありがとうございました!
(企業概要)
企業名:株式会社HONZAN
住所:〒840-0801 佐賀県佐賀市駅前中央1丁目8-32 アイスクエアビル5F 502号
事業内容:赤酢商品の企画販売
R5年度アクセラレータ事業受託社:株式会社ビザスク