事例紹介

解体事業者が挑む、ゼロからのDX

提供:有限会社丸富産業 

RYO-FU BASEでは、県内企業に対するDXの取り組みの⼀環として、DXアクセラレーターとして伴⾛することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画⽴案を⽀援しており、最終的には、企業⾃らが⾃⾛して DX を進めることができるようになることを⽬指しています。 今回は、有限会社丸富産業の取り組みについて、代表の富吉様と、総務・経理ご担当の亜友様にインタビューしました。

1.DXを進める理由

DXアクセラレータ

はじめに、貴社の事業概要を教えてください。

富吉社長

丸富産業は、主に建造物の解体⼯事全般を⾏う会社です。ビルなどの⼤型物件から⽊造家屋まで、幅広く対応しています。

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富吉様がご⾃⾝で創業された会社だと伺いました。

富吉社長

その通りです。解体業で働くなかで、いつか⾃分の会社を持ちたいと思っていました。そして2003年、「不景気だからやめた⽅がいい」と周囲には反対されましたが、「今が底で、これ以上景気は悪くならないはずだ」と考え、丸富産業を⽴ち上げたのです。今年で創業22 年を迎え、従業員は15名ほどとなります。

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DX伴⾛⽀援事業に参加を決めた経緯をお聞かせください。

富吉社長

創業期から20年間、経理など事務周りを⼀⼿に引き受けてくれていた妹が退職することになり、業務を引き継ぐことになりました。それまで見積書や発注書など、業務に必要なものはExcel運⽤がほとんどでした。⽇報に⾄っては⼿書きが中⼼で、読み解くのに時間がかかっていたのです。そこでこのタイミングで属⼈化を解消し、同時に業務を効率化するべく、DXに挑戦してみることにしました。
早速、新たな事務担当者が「解体くん」という解体⼯事・原価管理アプリを提案してくれました。かなり効率化が期待できそうだと導⼊を決定。しかし、なかなか活⽤がうまく進まず、結局はExcel運⽤を続けていていたのです。このままでは、いつまでたってもDXが進展しないと思い、本事業に参加を決めました。

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ちょうど、DX化を進めようとしていたタイミングだったのですね。
Excel運⽤に、具体的にどのような課題を感じていたのでしょうか。

亜友様

Excel の場合、⼊⼒後に保存せず、⼤事なデータが消えてしまうことがありました。そして基本的に担当者が1⼈で管理していたため、⽋勤してしまった場合、他の社員では内容を確認できず、業務が停滞してしまうことがあったのです。

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新しいツールを⼊れたものの、なぜ活⽤が進まなかったのでしょうか。

富吉社長

新しいツールを導⼊すれば⾃動的にすべてが解決するわけではなく、使いこなせるようになるまでには時間も⼿間もかかります。それに、社内にDX の知⾒を持っている⼈はおらず、何から⼿を付ければいいのか整理するのも⼤変でした。早く進めたいけれど、多忙な中で元請けから「今週中に⾒積書が欲しい」と⾔われたら、どうしても慣れ親しんだExcelに⼿が伸びてしまっていました。それが、「解体くん」がなかなか浸透していなかった理由です。

2.DX伴走支援の内容

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DX伴⾛⽀援事業の具体的な内容について教えてください。

富吉社長

「解体くん」を導⼊したものの、具体的に何ができるのかわからない状況のなか、専⾨家の⽅に伴⾛⽀援をいただくことになりました。
まずは、それまでExcelで管理していた⼀連の業務をひとつずつ洗い出し、それぞれが「解体くん」アプリのどの機能に該当するのか、⼀緒に紐解き、状況を整理していただきました。
また、専⾨家の⽅にはDXの知⾒を授けていただいただけではなく、気持ちの持ち⽅の⾯でも助けていただきました。それまでは焦りもあってネガティブになっていましたが、専⾨家の⽅に「慣れたら本当に楽になるから、⼀歩⼀歩頑張りましょう」と声を掛けていただき、モチベーションが上がりました。

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急いで進めるのではなく、無理なくDX 化に向けて進んでいったのですね。
まずはどの業務からツールの活用を始めたのですか? 

富吉社長

まずは、⾒積書の作成からスタートしています。代表として、「やる」と決めた以上は社員を引っ張っていかねばなりませんから、まずは私が積極的に触れて、使いこなせるようになろうと決めました。

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社⻑が率先してDX を進める姿は、きっと社内にも伝わっていると思います。実際に、本腰を⼊れて「解体くん」を使い始めたことで、どのような効果を感じていますか?

富吉社長

「こんなに便利なものなのか」と、衝撃を受けました。⾒積書の作成効率が向上したこともそうですが、その内容を全社でリアルタイムに共有できることがいいですね。
また、以前はExcelで作成した⾒積書のファイルがちゃんと整理できておらず、1 件のお客さまだけでも何百件という⾒積書があることもあり、後から探すのに⼤変時間がかかっていました。「解体くん」の場合は、現場名や年⽉などの情報で簡単に検索ができるため、⼤幅な時間短縮になっています。

亜友様 

経理担当者の私に聞かなくても、「解体くん」を⾒れば誰もが⾒積⾦額がわかりますし、齟齬があればすぐに修正もできるため、かなり業務がスムーズになったと思います。それに、以前は請求書をチェックした後、現場集計というExcelのシートを別に作成して、各⼯事の収⽀を⾒ていました。しかし「解体くん」ではすべての情報が集約されているため、その⼿間を掛けなくてもわかります。そして、スマートフォンで現場からもアプリにアクセスできることも便利です。まだ全社への浸透はこれからですが、将来的に良くなっていく兆しが⾒えてきています。

DXアクセラレータ

着実に成果を感じていらっしゃるのですね。
今回のDX伴⾛⽀援を受けた感想をお聞かせください。

富吉社長

まだ私たちのDX は始まったばかりですが、業務効率化や属⼈化の解消など既に⼤きな成果を感じているので、もっと早くお願いすればよかったと思っています。
ただ、やっぱりやってみると慣れるまでは時間がかかります。当初は「みんな早く使い⽅をおぼえなさい」と社員を急かしてしまっていたのですが、実際にやってみて⼤変さを痛感したので、今では「ぼちぼちやろう」と伝えています。

亜友様

DX化は丸富産業にとって初めての試みで、決してスムーズにはいきませんでしたが、DXの専⾨家に伴⾛していただいたおかげで、着実に前進することができました。
複雑に⾒えることも、専⾨家の視点で的確に状況を捉え、課題をシンプルに整理していただけました。そして、「いつまでにこれを進めましょう」と、具体的なアクションと期⽇を提⽰してくださったため、⾮常に取り組みやすかったです。

3.会社の将来構想

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今後、DXをどのように進めていく予定でしょうか

富吉社長

⾒積書からスタートして、⼯事スケジュール、発注書、⽇報、請求書、帳簿というのが⼀連の流れです。まずは上層部が⾒積書や⼯事スケジュールを使えるようになってから、次に社員に⽇報を⼊⼒してもらうようにしたいと考えています。そして、春頃には今までのExcel管理をやめて、「解体くん」に完全移⾏することを⽬標に掲げています。

亜友様 

「解体くん」を全社に浸透させてからになりますが、将来的には他のDXツールも検討していきたいです。私たちが知らないだけで、まだまだ便利なものがたくさんあるはずですから、情報収集していきたいですね。

DXアクセラレータ

最後に、DX伴⾛⽀援事業に参加を検討している企業にメッセージをお願いします。

富吉様

今、どの会社も⼈材不⾜で困っています。DXは、そうした課題解決に寄与できる⽅法だと思います。私⾃⾝、はじめはDX のことはまったく考えていませんでした。いざ取り組んでみると、業務効率化や⼈件費の最適化など、いいことがたくさんあると感じています。特に、経理や事務は会社の底⼒で、DX化を含めて⼒を⼊れるべきところです。
以前は妹に頼りっきりで、その底⼒にあまり注⽬していませんでしたが、今回のDX伴⾛⽀援事業によって実感することができました。
⼈材不⾜が深刻化するなかでも、会社の⼟台をしっかりと整えていきたい⽅には、ぜひお勧めしたいです。

DXアクセラレータ

⾜踏みしていたDX が、本事業によって動きだしたことを嬉しく思っています。本⽇はありがとうございました!

(企業概要)
企業名:有限会社丸富産業
住所:〒840-0015 佐賀県佐賀市木原2丁目3-27
事業内容:総合建造物解体事業/土木建設事業

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