事例紹介

【自治体DX事例】 問い合わせ自動対応AIチャットボットの導入と実証実験結果

提供:ベルズシステム株式会社

苫小牧市にて、問い合わせ自動対応のアシスタントAI「Roanna」を導入した実証結果をご紹介いたします。(期間:2020年3月〜2021年2月の1年間) 費用対効果の効果測定について、活用ポイント、AI導入から見える新しい視点をお伝えしていきます。今後、導入を検討される企業、行政の方はぜひ参考にして頂ければ幸いです。

問い合わせ自動対応AIの費用対効果

システム導入などで検討時にいただく質問のひとつが「費用対効果」に関してのご質問です。システムを導入するからには結果を求められますし、数値的なゴール指標はもちろん必要です。

今回のアシスタントAI「Roanna」の導入における、費用対効果は
「総回答件数×解決率÷(60÷相互間損失時間)×平均時給」にて算出を行っています。

相互間損失時間というのは、質問する側と回答する側が消費している時間を指します。今回の場合ですと、質問する側の所要時間8分、回答する側が回答を準備する所要時間(リサーチ時間も含む)12分と算出しました。

今回の苫小牧市での実証実験では、アシスタントAI「Roanna」を導入することによって、総回答件数が3,107件で、利用率は7.2%、費用対効果は約200万円という結果になりました。次年度以降、利用率を20%に高めることで530万円。利用率30%で790万円の費用対効果が出せることがわかりました。また、解決率は年間通して80.1%と高い数値となりました。

利用率を計画的に高めることにより費用対効果は上がっていくことが明確になりました。

問い合わせ自動対応AIを活用するためのポイントは自動化率

せっかくAIを導入したからにはその恩恵をしっかり享受していただきたいと考えています。

アシスタントAI「Roanna(ロアンナ)」には、文章におけるゆらぎ、さまざまな言い換えを理解する独自の自然言語理解AI「NSU」が搭載されており、今まで以上に、自然なコミュニケーションにおいて質問を理解することができます。

今回の場合ですと、導入時において、これまでのチャットボットやネットの経験から、「単語や挨拶などを試しに打ち込んでみて体験してみよう!」 という方もいらっしゃったことで、導入時には一時的に回答数(自動化率)が落ちる減少が見られました、ですが、基本的には質問傾向に合わせてシステムをアップデートしていくことで、その企業や行政のスタイルに合わせてAIを育てていくことができます。

そこでポイントとなるのが「自動化率」です。
自動化率を高めるためには、多くの質問数を集め、その質問に対して的確な答えを設定していくことが必要になります。答えを設定しておくことで、あらゆる質問の言語のゆらぎを超えて、回答を素早く提供することが可能となります。

人には聞きづらい質問も、AIには聞きやすい?

今回の導入にあたり、質問が一番多かったのは「総務・人事関連」についての質問となりました。その中でも、休暇関連、業務関連、手当・扶養・福利厚生関連、賃金・待遇関連が80%を占める結果に。

お金のことはなかなか人には聞きづらいのは人の常。直接聞けないことをAIに質問しているという傾向が見えてきました。

この傾向は、新しいAIの立ち位置や有用性を示してくれていると感じています。
誰にも質問できない、聞けないことで悩んで時間を費やしていることは、時間リソースの無駄遣いであり、質問して解決する内容であれば積極的にAIを活用すべきです。

その他にも、庁内でのマイナーな声なき声に気づくきっかけなど、自治体改革の一助を担う存在となる日も近い将来訪れるのではないかと期待しています。

見えてきた今後の課題と未来の姿

今回の実証実験でわかったことは、どのような質問が来るのかをまずはデータ化する必要があって、そのデータ化された質問に対して迅速に回答を与え、このサイクルを回していくと自動化率が上がっていくということです。単純な定型反復業務はAIに任せて、もっと柔軟で賢い人間はAIが機能しやすい環境を作るという仕事にシフトしていくというかたちが見えてきました。

今後については、まずはこれまでの業務フローはそのまま継続した上で、利用率を上げて行くことが課題だと思います。そのためには、利用促進のための告知、もっと使いやすいようにユーザビリティ向上の検討、などに取り組む必要があると考えています。

「AIと人が協業する」未来が正に来ています。

働き方改革のツールの1つ

最後に苫小牧市様から頂きました感想をご紹介します。

苫小牧市

自治体としては、行政ICT化と働き方改革が求められ、AIやRPAを導入する自治体が増加する一方で、費用対効果が低いという点に、導入には課題があると感じておりました。

本市では「苫小牧市行政創革プラン」、「苫小牧市ICT推進プラン」の中でもAI・RPAの活用を掲げていたところ、地場IT企業である株式会社I・TECソリューションズ様とベルズシステム株式会社様から実証実験のご提案があり、「働き方改革の推進にかかる連携協定」を締結し、自治体向けの「AIチャットボット for LGWAN-ASP」として「ロアンナ」を構築・利用させて頂きました。

最初は他先進自治体の事例から、Q&Aを作る手間や、本当に職員の負担軽減になるのか?という疑問もありましたが、本製品の売りである「ゆらぎ」という機能によって、類似データも判断出来ることや、質問する職員自身に質問を入力させ、その後担当課が回答する、という「システム構築作業を相互協働する」ことで構築側職員だけ負担が偏らず、効率良く構築が出来ました。

実際に先行して情報システム部門や人事・給与部門で導入しましたが、最初はデータ整備作業に追われ繁忙にはなったものの、ある程度データが整備されると、これまで異なる職員から何度も聞かれる質問や電話が少なくなった、という喜びの声が聞こえて、実際に私自身も職場での電話数がかなり減ったという印象を実感してます。

今や生命保険会社や宅配便、携帯・スマホの手続きなどもAIなどを活用するのが当たり前の時代ですので、行政分野においても、これまで職員が対応してきた定量的な作業をAIが行うことで、例外的な事例や困難案件業務に専念し、業務の効率化・市民サービスの向上につながるものと実感いたしました。

ベルズシステム株式会社

国内企業 福岡県

アシスタントAI「Roanna」を中心として、自然言語理解AIエンジンを提供。お問い合わせ対応の自動化DXを推進。「AIが人の言葉を理解する社会へ」をビジョンとして自然言語データを経営資源として活用するためのシステム開発・販売、コンサルティング・サービスやアウトソーシング・サービスも展開。

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