
DXマインドチェンジ ~DXへの挑戦で従業員の意識改革~
提供:IMARI株式会社
RYO-FU BASEでは、県内企業に対するDXの取り組みの一環として、DXアクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、最終的には、企業自らが自走して DX を進めることができるようになることを目指しています。 今回は、IMARI株式会社の取り組みについてインタビューしました。

代表取締役/福井康一郎
DXに取り組んだ背景
まずは御社の企業概要を教えてください。
同社は、「人々の使命や想いを知り、その目的達成を支援する」という理念のもと、梱包資材の提供を通じて顧客の大切な商品や製品を守ることに使命とし、従業員に対しては仕事の楽しみややりがいを作るという想いをもって経営に取り組んでいます。主力の事業としては各種段ボールの設計、製造、販売や段ボール製の家具や遊具の製造を行っている会社です。
さらに、カンボジアの地雷除去活動を支援するため、同国の焼酎「ソラクメール」の日本総代理店として、平和活動の一環としての事業も展開しています。
本事業でDXに取り組む以前に、感じていた課題はありましたか?
当社では管理部門の業務効率の低さが課題となっていました。特に、時間管理の意識が薄く、納期への意識も十分ではありませんでした。
また、利益率を向上させるためにも下請け構造からの脱却が必要であり、効率的な新規開拓を行うための新たな営業チャネルの構築の必要性を感じていました。
JICUからのDXアクセラレータ参加打診に応じた理由を教えてください。
当社がDXアクセラレータに参加した理由は、以前から関係のあったコンサルタントとの関係から株式会社JICUの代表である水田氏との人間関係ができていたことが理由の一つです。ただ、何よりもJICUのメンバーは、中小企業診断士を中心にDXだけでなく経営にも理解のある専門知識を持つスペシャリスト集団であること。さらに単なるコンサルタントという立ち位置だけでなく、実際に経営を行っている人々の集まりであり、それらの視点を活かした支援を受けられる点に魅力を感じたことも大きな決め手となりました。
課題解決に向けた取り組み
本事業で取り組んだことを教えてください。
当社がDXアクセラレータを通じて取り組んだ主な施策は、以下の2点です。
1つ目は請求書の電子化です。
従来は郵送で行っていた請求書の送付を、Excelマクロを活用してPDF化し、メールで送付できるようにしました。これにより、業務の効率化とコスト削減を同時に実現することができました。
2つ目はLP(ランディングページ)の制作
当社では、新規受注の拡大に向けて、プラスチックダンボール(プラダン)に特化したLPを制作しています。従来の営業では、ネット経由での問い合わせが年に1件あるかないかという状況でしたが、今後の人手不足を見据え、デジタルを活用した新たな営業チャネルの確立を目指しているという状況です。
結果はこれからですが、非常に楽しみな取組のひとつです。
DXに挑戦して良かった点、苦労した点を教えてください。
DXに挑戦してよかった点は以下の3点です
•「仕事」と「作業」の違いに気づいた
管理部門の業務では、転記作業や請求書の発行などが「仕事」だと思われていましたが、実際には価値を生まない単なる「作業」であることに従業員のみんなが気づくことができました。これが、業務の見直しや改善の大きなきっかけとなっています。
また、DXに取り組んだ結果の具体的な成果3点ほどあります。
■請求書業務の時間短縮:従来は半日以上かかっていた作業が、約1〜2時間で完了するようになりました。
■コスト削減:郵送代や封筒代などのコストが年間約20万円の削減につながる予定です。
■請求書の送付遅延の解消:年末年始など郵送が遅れる時期でも、メール送信により即時対応が可能となり、今期の年末年始にもとても重宝しました。
苦労した点は
■入金消し込み業務の自動化が困難だったこと。インターネットバンキングの制約や、入金タイミングのバラつきが影響し、完全な自動化には至りませんでした。
■マクロを活用した業務の仕組み作りに時間がかかったことです。
本事業を終了して
本事業に参加し、DXに取り組んだことで、どのような変化がありましたか?
DXへの取り組みにより、当社の業務プロセスは大きく改善されました。特に請求書の電子化による時間短縮とコスト削減は、今後のさらなるDX推進の土台となったと思います。また、「みんながやっていたことは仕事ではなく作業だった」という気づき従業員が得られたことは、社内の意識改革に大きく貢献したと感じています。
事業終了後、自社でどのようにDXに取り組んでいきたいと考えていますか?
まずはLP製作による新たな営業チャネルの構築を成功させて、売上と利益の向上を実現させたいです。次に製造業務は人材不足もあり、生産性向上を目指したいと思います。管理部門に関してはさらなる業務効率化を目指し、転記作業の削減を進めたいと考えています。現状では、手作業による入力が多く、データの一元管理が十分にできていません。他の業務にもデジタルツールを活用し、より効率的な経営を実現したいと考えています。
現在デジタル化やDXへの取組みに悩まれている企業様に対してメッセージをお願いします。
DXに取り組む際に最も重要なのは、単に業務を効率化することではなく、効率化によって生まれた時間をどう活用するかを先に考えておくことだと思いました。多くの企業がDXを「コスト削減」の手段として捉えているように感じますが、それだけではモチベーションが続きません。DXによって生まれた余剰時間を、どのような新しい価値創出に使うのかを明確にすることが、成功への鍵となるのではないかと思います。当社では、DXで削減できた時間を活用し、製造現場の手伝いを行うなど、新たな仕事のやり方を実現しています。
(企業概要)
企業名:IMARI株式会社
住所:〒848-0024 佐賀県伊万里市大川内町甲984-3
事業内容:各種段ボールの設計、製造、販売
R6年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社佐賀JICU