事例紹介

碍子製品を通じて これからも社会インフラを支えていく

提供:藤津碍子株式会社

佐賀県では、県内企業に対するDX の取り組みの一環として、DX アクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、最終的には、企業自らが自走して DX を進めることができるようになることを目指しています。

DXを進める理由について

DXアクセラレータ

まず、御社の概要について教えてください。

円田社長

弊社は鹿島市で創業82年を迎えた、「碍子(がいし)」という絶縁物を製造する会社です。

DXアクセラレータ

碍子について詳しく教えてください。

円田社長

碍子は、電気を絶縁し電線を支えるための器具のことで、電力・交通・通信などの社会インフラに使用されます。
弊社で製造している碍子は、主に電力会社の配電線に使用されており、電力の安定供給を陰ながら支えています。また、近年は全国の太陽光や風力などの設備にも採用されており、再生可能エネルギーの導入拡大にも貢献しています。

碍子の写真
DXアクセラレータ

社会インフラを支える碍子事業ならではのお困りごとはありますか。

円田社長

高い品質にこだわる必要があることです。
碍子は日常の中で意識される製品ではないと思いますが、社会インフラを支える大事な製品です。
碍子製品に不良があると電力供給が出来なくなるので、品質を守ることはとても重要です。
そのために本事業に参加する以前から、不良品の分析により不良品率の低減に努めてきました。

DXアクセラレータ

分析・改善活動を行いながら、高い品質を維持されているのですね。
佐賀県のDX伴走支援にはなぜ申し込まれたのですか。

円田社長

IT分野に詳しい専門家のアドバイスをいただきたかったからです。
これまでは、ITツールの選定は自社だけで検討していましたが、現在課題としている生産計画・生産管理の領域で当社の課題解決に課題に対する解決策、及び解決のために最適なITツールを見出すことが出来ていませんでした。
そこで第三者の視点から課題の整理及び、解決策の選定のアドバイスをいただきたいと考えていたところ、佐賀県産業スマート化センターのWebサイトで本事業の募集を知り、申し込むことにしました。

DXアクセラレータ

第三者の客観的な視点が新たな課題の抽出・整理につながることがありますからね。
DX伴走支援以前に取り組まれていたデジタル化や業務効率化はありますか。

円田社長

BIツールによるデータ分析は7年前から、RPAによる定型業務の自動化は6年前から実施しています。弊社は少人数なので、業務を効率的にしたいと思っていました。
私は機械が出来ることは機械に任せて、人がやらないといけないことだけに注力したいという思いをもっていて、そのために新しいツールの導入は比較的早い段階から取り組んできたのではないかと考えています。

DXアクセラレータ

DX伴走支援を受ける前から業務効率化による社員の稼働の創出に取り組まれていたのですね。DX伴走支援を受ける前の社員のITリテラシーはいかがでしたか。

円田社長

ITツールを扱うことが非常に得意な人から、普段はなじみのない人までいました。以前からデジタル分野に強い人は、ITツールの導入によるデジタル化を抵抗感なく受け入れてくれて、本当に便利になったと言ってくれています。
一方で、これまで導入を検討したツールの中には、製造現場に携わるためパソコンをあまり触ってこなかった人から、ITツール導入以前の方が業務に取り組みやすかったと言われて、導入を見送ったものもあります。

現場の人が使えないツールでは大きな効果が発揮されないと思うので、ITツールを導入する際は、製造現場でも使いやすいものを選ぶことを意識しています。

DX伴走支援の内容について

DXアクセラレータ

どのような取組テーマでDX伴走支援を受けられたのですか。

円田社長

生産計画・生産管理のシステム化をテーマに取り組みました。
現在は非常に複雑なエクセルファイルで管理して、管理者が生産計画を立てているのが実情です。
生産計画業務が属人化・複雑化しており、生産計画をもっと簡単にだれでも策定できるようなシステムを目指しています。

DXアクセラレータ

伴走支援を受けるにあたって、生産計画の策定業務に問題意識をもつようになったきっかけは何ですか。

円田社長

その人にしかできない創造的な業務や、売り上げを増加させるための新しい業務に時間を使ってほしいと思ったことがきっかけです。現在は、製造部門の管理者が生産計画を緻密に作ってくれているため、納期の対応などがしっかり出来ています。
しかし、その際に製品ごとの細かな設備要件や製造工程の社員の熟練度を考慮する必要があるなど要件は複雑化しており、管理できる人が限られている、他にもやるべき仕事があるなかで管理者が計画策定に忙殺されているという現状があります。

計画策定をシステム化できれば、そこに充てていた時間をその人にしかできない業務や、売り上げを増加させるための新しい業務に回すことが出来ると思いました。

生産過程の様子
DXアクセラレータ

高い品質を維持するためにも、綿密な生産計画は必要だと思います。
DXに取り組むことで、この綿密な生産計画作成にかかる稼働の削減、属人化の解消を実現したかったのですね。

問題解決にあたって、まず取り組まれたことは何ですか。

円田社長

はじめ現状把握に多くの時間を割いて取り組みました。
どういう帳票があって、帳票を誰が入力していて、どういう業務の流れがあるか丁寧に分析していただきました。

生産計画のエクセルファイルは初見では分かりにくいと思っていましたが、構造をすぐ理解いただいて、ブラックボックス化されていた作り方を打合せで紐解いていき、業務フローの図示までしていただきました。

DXアクセラレータ

実際に全体的な業務の紐解きをしてみていかがでしたか。

円田社長

自分たちだけでは普段の業務で困っていることだけを解決しようとしてしまいますが、伴走支援では業務をすべて理解した上でデータ構造としてあるべき姿を考えることが出来ました。

全体を見て、大きな視点で考えてくれたことで、新たな気づきが得られたと思っています。

DXアクセラレータ

DX伴走支援により、部分最適でなく、全体最適の観点で業務について改めて理解することが出来たのですね。

現状把握のプロセスで苦労や工夫したことはありますか。

円田社長

伴走支援を受けるにあたって弊社の現状を知っていただく必要があり、その点に苦労しました。

弊社の生産計画や生産管理の業務の流れや、生産計画の作り方、その際に担当者がどのように考えて計画しているか、ひも解いていくステップを丁寧に行いました。そこに多くの時間を要しました。

DXアクセラレータ

今回の取り組みを社員に理解してもらうための工夫は何かされましたか。

円田社長

社員を巻き込む範囲をまずは限定し、徐々に広げていくようにしました。
いま伴走支援に巻き込んでいるのは実際に生産計画策定に携わっている担当者です。続いて、次の階層の人たちを巻き込むと理解してもらいやすくなるのではと考えています。

まずは必要性を強く感じている人たちを巻き込むのがDXをより円滑に進めるために有用なことだと考えています。

DXアクセラレータ

最終的には全員に携わってもらいたいと考えている一方で、初めは実業務担当者を中心にスモールスタートで成功を積み重ねているのですね。

円田社長

そうですね。
現状は私と主要な管理者が主体となって検討している段階なので、これから社員にも落としていきたいです。

DX実現に向けた管理者間での打ち合わせの様子
DXアクセラレータ

今後もDXへの取り組みは続いていくとは思いますが、ここまで伴走支援に取り組んでみた感想を教えてください。

円田社長

自社だけで取り組むと、目の前の課題だけにフォーカスしてしまうので、部分最適になってしまう傾向にあります。
しかし、伴走支援では全体のデータ連携を考慮した上で、どのようなデータ構造でデータを取得していくべきかなど、全体像を意識した視点でアドバイスを頂け、大変参考になりました。

DXアクセラレータ

伴走支援を通じて、新たな気づきを得られたようで良かったです。

会社の将来構想について

DXアクセラレータ

最後にDXへの取り組みを踏まえて、今後の方向性や将来の展望を教えてください。

円田社長

DXはそれ自体が目的ではなく、DXを通じてその人にしかできない業務に取り組んでもらえるような仕組みを作っていくことに価値があると思っています。

また創業82年を迎えて、お客様のニーズも日々変化しています。
そのために日常業務に忙殺されるのではなく、新しい業務にも力を費やすことができる環境を整備して、時代が変わっても、お客様の期待に応えられる会社でいたいと思っています。

DXアクセラレータ

御社の方向性にDXアクセラレータのメンバーはとても共感しています。
今後、藤津碍子さまが社会のインフラを支えていくDX推進企業として、活躍することを期待しております。

本日はありがとうございました。


(会社概要)
会社名 :藤津碍子株式会社
住所  :〒849-1313 佐賀県⿅島市大字重ノ⽊甲245-1
事業内容:碍⼦の設計・製造、配電⽤機材の代理店販売


R5年度アクセラレータ事業受託会社:西日本電信電話株式会社

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