事例紹介

【前編】⼈気ショップがDXで業務改⾰&メタモール展開!〜社⻑の頭を⼤解剖⁉️DX構想編〜

提供:有限会社アシス

私たちの普段の⽣活でも良く⽿にするようになった「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。 デジタル技術を使って、ビジネスや仕事をより良いものに変えていくものです。 佐賀県では、中⼩企業のDXを後押しするため「佐賀県中⼩企業DXフラッグシップモデル創出事業」を実施しています。 今年度のDXフラッグシップモデルに選ばれたのは、⼩売・飲⾷業を展開する「有限会社アシス」。さて、どんなDXに取り組むのでしょうか。 取り組みに密着し、前編、後編と2回にわたってお伝えします。

抱える課題とは?まずは現場の声を聞いてみよう!

多久駅近くにある「SCOL SHOP」と「SCOL CAFE」。アシスが経営する2つのお店は"⼈⽣の概念を変える、暮らしに楽しいを届けること"を提案する「SCOLブランド」として、県内外から⼈気を集めています。こんなおしゃれな人気店にも業務での困りごとはあるのでしょうか。早速、現場の声を聞いてみましょう。

雑貨を販売するSCOL SHOPと、店内で焼いたパンやコーヒーを提供するSCOL CAFE
雑貨を販売するSCOL SHOPと、店内で焼いたパンやコーヒーを提供するSCOL CAFE

SCOL SHOP(⼩売業)の場合

暮らしのワンポイントになりそうなお洒落なグッズが並ぶ「SCOL SHOP」。店内には、⽣活雑貨や家具、ステーショナリーからコスメ、ファッション雑貨まで、⾜を踏み込んだ瞬間からワクワクする空間が広がっています。店内に並ぶ商品はなんと約2,000点!

北欧テイストの雑貨など、どれもお洒落な商品ばかり!
北欧テイストの雑貨など、どれもお洒落な商品ばかり!

これらの膨⼤な数の商品を管理しているのはショップマネージャーの笹川さんです。

笹川マネージャー

商品の在庫管理は、紙の納品書を綴ったこのファイルで⾏っています。仕⼊れした数が記載された納品書と、売り上げた数が記載されたレシートを照らし合わせ、そこから⼿計算で在庫数を割り出しています。

また、発注する商品は過去の数量を基に判断していますが、その都度、過去の同じ時期に何の商品をどれくらい仕⼊れたのか、このファイルでさかのぼって確認しないといけません。

今年もこのくらいの数が必要だろうと推測を⽴てるために、過去の納品書をさかのぼる
今年もこのくらいの数が必要だろうと推測を⽴てるために、過去の納品書をさかのぼる
EDITORS SAGA編集部

この膨⼤な商品量を紙で管理するとなると、かなり時間がかかって⼤変なのでは...

笹川マネージャー

そうですね、開店中は接客があるため商品管理や発注作業ができないので、閉店作業が終わったあと残って作業することが多いです。

SCOL CAFE(飲⾷業)の場合

ところ変わってお隣の「SCOL CAFE」は、⽇常にホッと⼀息つける時間と空間を提供するカフェ。厳選した挽きたての⾖を使ったスペシャルティコーヒーと、店内で焼き上げるパンが⼈気です。

ナチュラルなテイストの明るい店内
ナチュラルなテイストの明るい店内
毎⽇20〜30種類の焼き⽴てのパンが並ぶ
毎⽇20〜30種類の焼き⽴てのパンが並ぶ

お話を伺ったのは店⻑の⼤曲さん。

大曲店長

レジ打ちと袋にパンを詰める作業で、レジにはスタッフ2⼈が⽴つようにしていますが、そのうち特にレジ打ちが大変で、⼟⽇などお客さんが多い⽇はお会計をお待たせしてしまうこともあります。レジに列ができたら、早くしなければと緊張しますし、レジ打ちは⼿作業なので⼊⼒ミスが発⽣することも...

中にはレジの列を待っている間に帰ってしまうお客さんもいるのだとか...
中にはレジの列を待っている間に帰ってしまうお客さんもいるのだとか...
EDITORS SAGA編集部

パンの種類が多いので、特徴や値段を覚えるのも⼤変そうですね。

大曲店長

そうなんです。さらに会計をしながらどのパンがどのくらい売れたかも把握しないといけません。

また、バックヤードではパンの材料などの在庫を⼿書きの表で管理しています。⼿作業のため発注漏れが起こりやすく、焼きたいパンが焼けなかったこともあります。

冷蔵庫の中になんの材料がどのくらい⼊っているか、⼿作りの表にメモ
冷蔵庫の中になんの材料がどのくらい⼊っているか、⼿作りの表にメモ

現場で働くスタッフの声から⾒えてきた課題。DXでどのように解決できるのでしょうか?

社⻑に直撃!ショップとカフェでどんなことを実現?

こうした困りごとを解決すべく、DXでどのようなことに取り組まれるのか、アシス代表の笹川社⻑に伺います。

有限会社アシスの笹川社⻑。ショップ、カフェ以外にも注⽂住宅事業も展開している
有限会社アシスの笹川社⻑。ショップ、カフェ以外にも注⽂住宅事業も展開している
笹川社長

セレクトショップとパン屋さんって表⾯上はすごく華やかな世界のように見えますよね。でも、裏でやっている作業はすごく地味で⼤変なんです。そこで、ITの力を活用することでスタッフの負担を軽減させ、仕事の表と裏のギャップを限りなく少なくしたいと考えるようになりました。そこがDXに取り組もうと思ったきっかけでもありますね。

  

DXのプロジェクトは3つのフェーズに分けて進める計画。

各フェーズの内容について具体的に聞いてみました。

スタッフにゆとりを⽣み出す!ITで業務改善

フェーズ1ではショップ、カフェのスタッフの業務負担を軽減することを⽬的として、以下の実施を進めるという笹川社⻑。

  • 在庫管理・発注データ自動作成システムの構築
  • AI型⾃動⽀払い精算機システムの構築
  • アプリ開発(ポイント制度、⾃動決済システム含む)
  • RPA等による会計帳簿の自動入力化

現在それぞれの店舗では、スタッフが経験を基に業務を⾏なっているため、もしその⼈が働けなくなった時、代わりにその業務を⾏える⼈がいない状況に陥ってしまうことも問題だといいます。

笹川社長

ショップでは仕入・販売を一元管理する在庫管理システムを導入します。販売実績がデータ化されるとともにリアルタイムで在庫数が把握できるので、紙の納品書を確認して在庫数を手計算する手間が削減されます。在庫数は、自動的に発注データに反映され、それを基に簡単に精度の高い発注をかけられるようになります。

  

続いてカフェの⽅の取り組みについても伺いましょう。

笹川社長

カフェでは業務の効率化を図るためAI型の⾃動⽀払い精算機を導⼊します。商品をAIカメラに通すだけで"これは○○パンで、料⾦はいくらか"という情報が瞬時に判別され、⾃動でレジに送られるので、商品名と⾦額を打ち込む必要がなくなる上に、正確で速くなります。これにより、レジは2⼈体制から袋詰め作業だけの1⼈体制にすることができ、もう一人のスタッフはその時間に別の業務を進めることも可能です。

EDITORS SAGA編集部

カメラで商品を⾃動判別できるとはすごいですね!レジに列ができていると帰ってしまうお客さんもいるとカフェの店⻑もおっしゃっていましたが、お客様の待ち時間の軽減にもつながりますね。

笹川社長

そうなんですよ。お客様の待ち時間を軽減するために、他にも、パンの焼きあがり時間や在庫、混雑具合がわかるようなアプリの開発も考えています。お客さんは来店前に⾃分が買いたいパンがあるか確認できるし、こちらも商品についてのお問い合わせ対応を減らせるというダブルのメリットがあります。
また、1⽇の営業が終わったあと夜な夜な⼿作業で⾏っている帳簿の⼊⼒も、RPA(※)等を⽤いて⾃動化し、業務を削減する予定です。

※RPA(ロボティック プロセス オートメーション):⽇ごろパソコンで⾏っている作業を⾃動化すること

紙ベースで管理している情報
紙ベースで管理している情報
EDITORS SAGA編集部

なるほど。作業時間が⼤幅に改善されて、スタッフの⽅のゆとりが⽣まれそうですね!

笹川社長

そうそう、それで、より笑顔で接客できるとかね(笑)。もちろんそれも⼤事な⼀⾯ですが、ただ業務を楽にするためではなく、スタッフ含めみんなで新しいことに挑戦していくためのDXなんですよね。僕は現状維持=衰退だと思っていて、スタッフにゆとりを⽣み出すことで、お店をもっとパワーアップさせる計画を立てたり、新しいチャレンジに取りかかる、そういう時間をつくっていきたいんです。

マネジメントにもDX?経営判断を助ける戦略マップ

また、フェーズ1ではさらに経営面のDXも目指し、笹川社長はコンサルタントの⽅と⼀緒に計画を進めています。

右)コンサルタントの⼭下さん。様々な地域の案件を⼿掛ける。
右)コンサルタントの⼭下さん。様々な地域の案件を⼿掛ける。
笹川社長

コンサルタントの⼭下さんには経営についても⾊々と教えてもらっています。売上や仕⼊れなど様々な情報をデータ化すると話しましたが、それらのデータから的確な経営判断ができるようにならないといけません。そこで⼭下さんから、数字をもとにした根拠ある経営戦略が⽴てられるツールとして「戦略マップ」というシステムを紹介してもらいました。

山下さん

戦略マップは簡単に⾔うと経営指⽰書ですね。

経営状況の多くは数字で把握できますが、その数字をもとに次に何をすべきか、具体的な指示を表⽰させることができるのが戦略マップシステムです。

  

実際に戦略マップを⾒せていただきました。例えば売上が下がったという結果(数字)が出たら、打開策として、新規顧客の獲得、過去のお客さんを掘り起こし個別訪問する、プロモーションの⼿法を変える、新商品をつくる、といったように、次に起こすべき⾏動の選択肢がこのマップ上に表⽰されます。

戦略マップ。指⽰内容は自社の数値データや経営理念に基づいたもの
戦略マップ。指⽰内容は自社の数値データや経営理念に基づいたもの
笹川社長

今後の施策の選択肢が提示されるので、あとは経営者がどれを選ぶかっていうことですね。数字に基づいているからなぜその行動をとるべきかの根拠が明確ですし、出来上がった戦略マップを⾒れば、スタッフみんなが会社の戦略を簡単に把握できるようになります。

山下さん

戦略マップには指示の基になる数字はもちろん、経営者の想いや⽬標も打ち込んでいきます。戦略の実現には経営者のビジョンがやはり⼤事で、この戦略マップは、経営者の想いも理論的に経営戦略につなげていける仕組みになっているんです。

笹川社長

ああしたい、こうしたいという根拠のない願望だけを言っているだけでは会社は成り⽴ちませんよね。気合いと経験だけでは時代の波を乗り越えていけません。特に僕らのような中小企業の場合、経営者は、相談する相手も機会も限られていて、不安や孤独を胸に抱えながら事業を進めていることも多いので、そんな時に戦略マップは経営判断の⼤きな後押しになります。

SCOLショップがメタモールに?未来的ショッピングを実現!

フェーズ2ではなんと「メタモール」を構築するという笹川社⻑。

メタは最近注⽬されているメタバース=インターネット上に構築された三次元の仮想空間を指しますが、「メタモール」とはどんなものなのでしょうか?

笹川社長

簡単に⾔うと、"バーチャルの商店街"ってことですかね。そこにSCOL SHOPを構築しようと考えています。バーチャルの商店街の中でお店に入ってもらうと、実際の空間を再現した店内をぐるっと360°⾒ることができ、こういうお店なんだ、こんな商品扱ってるのか、とリアルな映像で詳しく知ってもらうことができます。また、モールの中には飽きさせないような楽しい仕掛けをいくつも考えています。そして、今回はお見せできませんが、モール全体のデザインも非常にこだわったものに仕上げていきますので、早くみなさんに見てもらいたくてうずうずしています(笑)

3Dスキャナカメラで撮影した店内。タグをクリックすると商品情報が表⽰され詳細を確認してから購⼊できる
3Dスキャナカメラで撮影した店内。タグをクリックすると商品情報が表⽰され詳細を確認してから購⼊できる

一般的なECサイトとは違い、まさに商店街のようにふらっと立ち寄る感覚で店舗の空間を⾒渡しながらよりリアルな買い物体験ができるのが特徴のようです。モールでお店を気に入ってもらえば、実際に実在の店舗に足を運んでもらうきっかけにもなりそうですね。

笹川社長

今年度はこのフェーズ2の構築までを予定していますが、モールの中にただ⾃分たちの店だけがぽんっとあっても全然楽しくないじゃないですか。なので、フェーズ3として、来年度以降も、佐賀県内の様々な飲⾷店、⼩売店等に、そのモールの中に出店してもらおうと考えています。

⼩さなまちの社⻑が抱く野望。地域ぐるみのDX

おそらく佐賀県内で初となる「メタモール」の構想。バーチャル空間に佐賀県内のいろんなお店が出揃った街並みをぶらぶらしながら、気になるお店があれば店内の様⼦を⾒て回り商品を購⼊できる。そうしたバーチャルな商店街をつくるため、笹川社⻑は県内のお店への展開を構想しています。

笹川社長

実店舗を持つのと違って、バーチャル空間は高額な⼟地代はかからない上に、お店の広さもデザインの幅も無限⼤です。僕は多久市だけじゃなくて、佐賀県全体でこの取り組みをやっていきたいと考えていて、県内のいろんな事業者を巻き込んでいこうと思っています。

メタモールのイメージ。現実世界から収集したデータをコンピュータ上で再現し、リアルで没⼊感のある体験ができる。
メタモールのイメージ。現実世界から収集したデータをコンピュータ上で再現し、リアルで没⼊感のある体験ができる。
EDITORS SAGA編集部

なるほど。笹川さんは「多久市まちづくり協議会」でも地域活性のために活動されていますよね。なぜそこまで地域づくりに力を入れるのですか?

笹川社長

なんでだろう(笑)。親世代が頑張ってつくってきたまちですが、⾃分達の代もやれることをやっていかないと、地域⾃体が弱っていく⼀⽅だと思うんですよ。だけど⾃分⼀⼈がDXに先進的に取り組み成⻑するだけでは、地域にとって小さい変化しか起こせない。だから、僕らがDXのフラッグシップモデルとして、みんなに一緒にやっていきましょう、と呼びかけたいんです。みんなが⼿と⼿を取り合わないと、地域の価値を⾼めることはできませんからね。

⾃分が率先して取り組むことで、まわりを引っ張っていく存在でありたいという笹川社⻑。
⾃分が率先して取り組むことで、まわりを引っ張っていく存在でありたいという笹川社⻑。
EDITORS SAGA編集部

メタバースはすでに世の中で⾊々と取り組みが始まっていますが、他社との差別化についてはなにか秘策がありますか?

笹川社長

既存のメタバースには大企業がお⾦をかけてどーんと展開し、名のあるブランドやショップが連なっている形が多いように感じますが、今回僕らが目指す⼩さい事業所が連携する形でのモール展開は、地域のつながりが強い⾃分たちにしかできないことではないでしょうか。モール内でのバーチャルな企画はもちろん、実際の地域行事と連動させたイベントなども計画しています。メタモールの可能性は無限に広げられるので、日々わくわくしながらいろいろな企画を考えています!

  

個々の事業所がバラバラに動くのではなく、みんなで⼀緒に成長していくためにどうすればいいかと考えることが⼤切だと語ってくれた笹川社⻑。

笹川社長

やりたいことだらけで慌しい毎日ですが(笑)、佐賀県全体を盛り上げていくためにも、まずは⾃社のDXを成功させないとですね!チームみんなでがんばりますのでご期待ください!

  

⾃社の困りごとの解決に留まらず、培ったノウハウを地域の価値づくりにも活かすという壮⼤なアシスのDX構想。 取材する側も夢が膨らむような話が盛りだくさんの一日でした!

後編の記事をご覧になりたい方はこちら:
【後編】多久の⼈気ショップから新しい概念のメタバースが誕生!〜地域とともに成長するDXとは!?DX実行編〜

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