事例紹介

【DX推進担当者必見!】工場の自動化・IoT化に取り組む老舗メーカーの社内SEへインタビュー

提供:株式会社ゴール

鍵と錠の製造販売を行う株式会社ゴールは1914年創業の老舗メーカー。九州工場の社内システムエンジニアである高野さんは、工場の自動化、IoT化を進めながら、将来に向けて実績データを蓄積されています。社内でのDXを推進するにあたってのコツなどを聞いてきました。

【検査工程】重量チェッカーの自動化・IoT化

SISC

高野さんが取り組まれた重量チェッカーのIoT化とはどういうものですか?

高野さん

製造した製品を梱包して、出荷の前に重量チェッカーで検査をします。梱包の中身がきちんとそろっているか、重さをはかることによってチェックするというものです。

製品はたくさんの種類があり、それぞれに重さが違います。以前は設備に重さの設定を毎回手打ち入力していたところを、PCで入力・制御ができるように自動化しました。

重量が重すぎたり、軽すぎたりといった異常がある場合は、自動検知でプッシャーによりはじかれます。

設備を自動化するだけでなく、実績データを取るということも併せて実施しています。

SISC

取り組みのきっかけを教えてください。

高野さん

もともとシステムエンジニアをしていて、社内SEとして株式会社ゴールに勤めるようになり、IoT化やAIの導入にも積極的に取り組みたいという思いがありました。

今回の取り組みのきっかけは、設備が20年前のものでとても古くなっていたこともあり、このタイミングで設備更新と合わせてIoT化に踏み切りました。

DX推進担当者がすべき環境・雰囲気づくりと仲間づくり、経営層の説得

SISC

効率化を進めていく担当者さんのお話を聞いていると、社内から反対意見が上がるなどのハードルに悩まされる方が多いようですが、高野さんはどうでしたか?

高野さん

プロジェクトを始める前に、事前説明会を開くなど工夫していました。事前に利点を説明しておくことがプロジェクトマネジメントとして大事です。

社内から反対意見が上がる理由として「わからないから不安」ということがあるのだと思います。

AI」や「IoT」といった言葉は最近一般的なニュースでも言われるようになりましたし、そういったものが必要なことだと理解している人も多いです。しかし「どう実現するか」「何が起こるか」というところまでしっかりと理解している方はまだまだ少ない。自分の業務がどう変わるのかイメージしづらいのだと思います。

その部分をわかりやすく説明してあげることもプロジェクトマネージャーの役割です。

SISC

先に現場の理解を得ることが重要なんですね。せっかくシステムを整えても、実際には現場に受け入れられず、使われずに無駄になってしまったというようなお話を耳にしたことがあります。

高野さん

そうですね。何かあってからではいけないので、工場長には細かく相談するようにしています。提案書を作って説明して、納得してもらえれば後は応援してくれるのでとてもありがたいです。

プロジェクトを始める際には工場長の承認を得てから経営層に話をするようにしています。

現場を巻き込まないと後で手戻りが生じることがあるので、先に現場を巻き込んでおくことが大事です。トップダウンでやるとそういったことが起きがちなので、しっかり根回しをしておくべきですね。

SISC

現場のキーマンを見つけることが大事になってきますね。

他にも気を付けておくべきポイントはありますか?

高野さん

プロジェクトをやる人は社内の雰囲気づくりを気にしておくことも重要です。味方を作るために、仕事以外のコミュニケーションも積極的にとるようにしています。

SISC

現場の理解を得た後、経営層への説得はどのように行われましたか?

高野さん

経営層は数字を見て判断するので、この取り組みによってどのくらいの効果が出るのか、費用対効果を明確に数字やグラフで示すことが説得のコツです。

【目標設定】IoT化からAI導入へ

SISC

今回の取り組みの目的・ゴール設定はどのようにされましたか?

高野さん

最終的な目的はAIの導入です。

重量チェッカーをIoT化し、梱包の実績データを収集することで「どの製品の梱包にどのくらい時間や人手がかかったか?」ということが数値化されます。そのデータをもとに作業時間を予測し、この予測で残業になりそうであればヘルプを呼ぶなど対策を取っています。

SISC

自動化と同時に実績データを取り、取ったデータをもとに予測を立てるということですね。

高野さん

今後さらにデータが集まれば予測の精度も上がってくると思います。一定のレベルまでいったらこのプロジェクトはいったん完了ですね。

チャレンジに失敗はつきもの

SISC

今回の取り組みの中で、失敗したなと思うことはありますか?

高野さん

AIやシステムを外部に頼むとコストが高額になりますから、つくるものによっては外注も視野に入れつつも、できるところは自分でプログラムを組んでいました。20代の頃は結構失敗だらけで、プログラミングを間違って機械を止めてしまったこともあります。

最初はやはり失敗ばかりですけど、だんだん慣れてくるし予測ができるようになります。予測ができたら予防ができるようになるので、失敗を恐れずに取り組みを進めていくようにしています。

そうやってチャレンジを重ねていくと、それが経験値になりますよね。今IT人材が足りないという話をよく聞きますが、そういった経験値の部分が大きいのではないでしょうか。

大変なことや大きな苦労を経験している人が少ないので、DX推進担当者はもちろん、これからエンジニアを目指す方にもぜひたくさんチャレンジしていただきたいです。

今後の新たな取り組み

SISC

もう次の新しい取り組みも始められているんですよね。そちらはどういったものですか?

高野さん

現在は塗装工程の自動化と、検査のペーパーレス化を考えています。

新しく塗装ロボットを導入していて、PCから命令を出して統制するというところは同じように自動化していきます。

さらに、何時に塗装が終わったか、どのくらい塗料を使ったか、温度はどのくらいかといったデータも取るようにしていく予定です。これらは故障予測にもつなげることができると考えています。

SISC

今後さらにチャレンジを積み重ねていく予定ということですね。新たな取り組みのほうもこれからがとても楽しみです!

まとめ

社内SEとして奮闘する高野さんに、プロジェクトを進めていくコツや社内の雰囲気づくりなどを企業のDX推進担当者にぜひ知ってほしいお話をしていただきました。

AI導入という先々を見据えた工場の自動化・IoT化はスマートファクトリーを目指す同様の企業にとっても興味深い事例だと思います。

当センターでは今後も取り組みを追いかけ、ご紹介していく予定です。ぜひ今後の動きにもご注目ください!

株式会社ゴール

県内企業 神埼郡

弊社は、1914年(大正3年)創業以来、鍵と錠前の開発、製造一筋に邁進し、皆様に「安全と安心」をお届けする企業としてその役割を果たしてきました。その間、国内初のピンシリンダーの製造を開始、ドアロックの製造から時代背景の進化に伴うニーズの多様化により電気錠やカードロック、各種出入口管理システム機器や防災システム製品まで、多種多様な製品を取り揃え、お客様のご要望に応えて参りました。しかしながら、近年の治安の悪化、凶悪化に伴い、「安全と安心」は自分自身で守らなければならないものとなっており、錠に対する役割がより一層強く求められております。安心をより確実なものとする為に、当社は日本のロックメーカーとしては初めてとなる「米国UL防犯規格」の認定の取得、また、官民合同会議により制定された「防犯建物部品」(CP製品)に多数の製品を登録。製品の防犯性を高めて参りました。2014年に創立100周年を迎え、これからも安全で快適な社会創りに「創意」「誠意」「熱意」をもって貢献して参りますので、さらなるご指導とご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

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