事例紹介

営業戦略DX【POSレジデータ顧客分析&ターゲットを絞ったマーケティング施策の検討】

提供:有限会社ふるさと倶楽部

佐賀県では、県内企業に対するDXの取り組みの一環として、DXアクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、最終的には、企業自らが自走して DX を進めることができるようになることを目指しています。 今回は、有限会社ふるさと倶楽部の取り組みについて、山下様と大野様にインタビューしました。


山下取締役、大野営業企画部長、雪竹代表取締役


なぜDXに取り組んだのか

――本事業に参加した経緯

以前より、唐津市DXイノベーションセンター主催セミナーへ参加したり、システム導入についてセンターへ相談し、センターからITベンダー紹介等してもらっていました。
今回の事業についても、唐津市DXイノベーションセンターからの紹介で知りました。

――DXの目的とは?

(今回、山下取締役と営業企画部長大野様にインタビューを受けていただくことになりました。)

元々紙を使ったアナログ業務がかなり多かったので、DXというかデジタル化を進めていかないといけないと考えていましたが、「どこから手を付ければいいのかわからない」という状況でした。事務処理だけでなく、販売、マーケティングの部分においてもデジタル化が全くできていないと感じていました。20226月に新規店舗をオープンし、初年度の売上は良く軌道に乗っていたのですが、1年経った後、継続的なマーケティングやセールスが足りていなかったので、前年比思うような数字が上がっていなかったので、危機感を持っていました。「変えられるチャンスがあるのならば臨んでみよう」と思い、事業に参加しました。

――事業参加前に取り組んでいたことがあれば教えてください

前々から取り組まなければいけないと思っていましたが、2年くらい前、新店舗がオープンした頃からさらに意識し始め、本格的にDXやデジタル化についてちゃんと考え出したのはここ1年くらい、つい最近です。
これまでは、その時その時の必要に応じて、販売や受発注管理、会計ソフト、ECPOSレジなど色々なシステムを導入してきました。しかし、ツール毎に契約期間が違ったり、データ連携や相互システムとの対応可否等が異なります。例えば、今使っている販売大臣は他のツールと連携しづらくPOSレジスマレジとも連携できない等、ツール選定の際にもっと考えるべきでした。
最近やっと、部分最適ではなく、全体最適で上手く流すためのシステムを考える必要があると意識し始めました。各ツールの契約や機能を整理した上で、全体最適なシステムを考え直し、新たに導入するタイミングを見計らっています。

事業期間の取組について

――どのような社内体制で取り組まれましたか?

事業への参加を決めたのは代表です。事業参加時には、営業・製造・事務等各部門の業務を幅広く知っているメンバーを集め、取り組みました。特に大野営業企画部長がリーダー的な存在として、専門家による伴走支援を受けながら施策を実行に移していきました。

産直くん等のデータを基に打合せをしている様子

――専門家によるハンズオン(伴走)支援では、どのような取り組みをしましたか?

今回の伴走支援では、新規顧客開拓及び既存顧客の継続購入の為に、『産直くんで収集・分析すべき顧客属性の再検討』と『LINEポイントカードを活用した販促施策』に取り組みました。
ターゲットを絞った戦略や施策を考える重要性を改めて理解し、まずは産直くんで現在収集できているデータを確認・分析しました。顧客分類ごとの営業施策案として、これまでも実施しているDMの細分化や、新商品試食会や試作品試食会などを検討。また、誕生日DMなどの仕掛けを行う為にも、まずはLINEポイント会員を増やすことで顧客データを収集することを目指すこととしました。

LINEクーポン

――今回の活動を通して、期待している効果・イメージしている未来

大野様:今まではLINEなどのデジタルツールを使ってこず、折込チラシを販促手法のメインとしているような状況でした。LINEの会員を増やすことで、費用を押さえ、顧客分類別のターゲットに対して効果的なマーケティングができるようになると期待しています。取引先の店舗等とも連携しつつ、戦略的に販促を打つことができるかなと考えています。

山下様:LINEの会員を増やす施策の実行が第一です。新規顧客獲得、継続の為の施策としてクーポンなどのサービス拡充もしていきたいです。これからの12年は、LINE新規獲得や継続の為の仕組みづくりに注力していきます。

――事業に参加し、DXに取り組んだことで、社内にどのような変化がありましたか?

大変だったことは、事業実施期間が繁忙期(11月~12月)に重なっていたということもあって、社内側で取組を進めるのがスケジュール的に難しかったことです。業務内容の棚卸の時に、DX担当者だけでなく従業員にも書いてもらう必要があり、繁忙期中ということで気を使いましたが、従業員さんはすぐに書いてくれてそこはよかったです。
2月になってから、改めて従業員の業務内容の棚卸を行いましたが、「12月は社内作業が多かったが、もっと削減できる部分は無いか」と、従業員と話し合いながらスリム化を測っています。打合せに参加していたメンバー以外の従業員とも話し合いができるようになりました。
データ抽出については、欲しい情報を抽出するのに時間がかかりました。注文方法が対面・電話・ネット・FAX・郵送と5つあり、それぞれの販売方法において顧客分類の購入傾向があると思いますが、これまで注文方法に分けてデータを取っていませんでした。年代や性別等の顧客属性データも取っていなかったので、産直くんでデータを蓄積できているつもりでしたが、分析が難しかったです。注文方法や顧客属性をもうちょっと分類していくことで、お客様の属性に合った戦略が打っていけると学んだので、今後課題と捉えて、如何にデータを蓄積していくかが重要だと考えています。

事業を終了して

――本事業に参加(伴走支援の活用)する場合としなかった場合で、どのような差があったと思いますか?

山下様:良かったことはたくさんありますが、業務の棚卸など、やらなきゃいけないがずっと先延ばしにしていたことを、伴走支援によりやらなければならず、先延ばしにしていたことが実行できてよかったです。

大野様:棚卸しの部分で、今まで作業をする人が決まっていて、慢性的な作業となってしまっていた部分などを、第三者の視点で見直す良いきっかけとなったと思います。

――事業終了後、自社でどのようにDXに取り組んでいきたいと考えていますか?

自走できるロードマップは見えてきました。伴走支援でロードマップを作ってもらえたので、それをなるべく実践していけたらなと思っています。
会社の方向性としては、工場を建て替えたいので、実行する為にも売上拡大が重要であり、店舗の方はオープン時の売上に持っていくこと、またECの売上に課題があるので、EC売上UPの為の施策を打っていくことを目指しています。特にECについては、人口減少により店舗や販売場所を絞った形態ではなく、ECの柱をしっかり作ることが重要になると考えています。
また、「日本の宝物」という事業に参加しており、日本一の商品に選ばれるように年々商品をブラッシュアップしていき、いずれは世界に向けて商品を売っていきます!

――現在デジタル化やDXへの取組に悩まれている企業様に対して、メッセージをぜひお願いします。

山下様:唐津市では人口が減ると試算されており、日本の各地域でもどんどん人口が減ってくると思います。今までできたことを外注するのか、それとも内製化するのか、なるべく人の手を介さずにできるようにしておけば、人口減少となった社会でも事業継続していけると考えています。特に業種を限った話ではなく、人手不足の企業様には、デジタルツールを活用することで人の作業を軽減していけるものは使った方が良いとおすすめします。「どこから手を付ければいいのか」が問題になりやすいと思いますが、部分最適だと後から大変になるので、計画を立てる際は最初に伴走支援してもらったらいいと思います。

大野様:作業量がちょっとでも減れば、その分他のことに(営業や販売などの方に)行くことができます。営業や販売にもっと時間や人手を使いたいと悩まれている企業さんに対しては、各企業に合ったツールや運用方法を支援で教えてもらえると思います。


(企業概要)
企業名 :有限会社ふるさと倶楽部
住所  :〒847-0021 佐賀県唐津市松南町2-76
事業内容:畜産物 加工 販売およびサービス

R5年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社フォーバル九州支社 

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