事例紹介

新たな文化を創る酪農の最前線~デジタルを使った仕組化/データ・SNS活用~

提供:有限会社ナカシマファーム

佐賀県嬉野市でご家族で経営をしてきた「ナカシマファーム」。酪農のみならず、「チーズの製造・販売」、「カフェ」の経営などに事業を拡げてこられました。 “NEW CULTURE”―新しい選択肢、まだ見ぬ文化を酪農を通して創造するーを理念として掲げ、今もなお挑戦をし続ける中島千明さんにお話しを伺いました!

東京から佐賀へUターン!叶った家業での仕事。

SISC/岩田

中島さんは、大学ご卒業後は別の会社で働かれていたそうですね。
前職ではどういったことをされていたのでしょうか?

中島さん/ナカシマファーム

前職は東京の飲食店専門のWEB制作会社で働いていました。
そこで新規開拓の営業をしていて、とりあえず「営業で一番になるぞ!」と思ってやっていて、50人規模の会社でしたが、営業で1番を取りました。
築地の仲卸さんのHPをメインで担当していたので、築地エリアで営業したりしてましたね。15社ほど担当させてもらっていたのですが、皆さんやってることは「魚を売る」ことで一緒なんです。
ただ、売っている先は違うし、「ウニが得意」「エビが得意」とか売るものの得意不得意があります。打ち出し方で個性の伝わり方が変わりますし、マッチング率も変わったので、すごくおもしろいなあと感じましたね。

SISC/岩田

営業で一番も取られて、おもしろさを感じていらっしゃった中で家業に入ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

中島さん

もともと、大学卒業後家業に入りたかったんです。牛に関わる仕事がしたくて。
就職活動の時にそれを父に伝えた時、「お金ないから仕事ないよ、給料払えないよ」と言われました(笑)「やりたかったら自分でやれば」と。
とりあえず技術もなかったので、営業ができるようになったらなんでも応用が効くな!と思って営業の仕事に就きました。3年は働こう!と決めていたので、そろそろ戻ろうと思い、3年勤めて辞めました。そのタイミングで兄から「やりたかったらできる環境あるよ」と声をかけてもらったんです。

SISC/岩田

なるほど!やはり牛がいる環境に育ったこともあって、牛と関わりたいと思われたのでしょうか。

中島さん

もう絞りたての牛乳が美味しすぎて、それがない環境では生きていけないって本当に思っています(笑)
誰が絞ったかもわかりますし、衛生面に気を付けてやっていることもわかります。
牛乳と一緒に成長してきたので、この環境がいい!と感じましたね。

経営者である兄と妹の中島さんの役割。 

SISC/岩田

ご兄妹で会社をされている方って結構いらっしゃいますよね。
妹さんである中島さんから見て、経営者としてのお兄様ってどう思われていますか?

中島さん

経営者としては尊敬しかないです。
常にワクワクするビジョンを見せてくれるんですよね。
やれるかやれないかは置いといて、「なんだかやれそうだな」と思えることを常に発信してくれます。牧場、チーズ、カフェの未来の面白い道を示してくれるので、いいなあと思っています!

SISC/岩田

ご兄妹の間で、会社内での役割ってどんな感じなのでしょうか?

中島さん

主に牧場、チーズ、カフェの3つを軸として持っており、牧場は兄の友人、チーズは私、カフェは兄の奥さんが現場を回しています。
兄はその3つを俯瞰してみている感じですね。
DXの部分は兄ができない領域だと思っているので、自分の領域・居場所だと思っています。自分が好きなようにできるし、結果を出そうと思って色々工夫をしながらデータ編集したり、加工したりと、楽しくやっています!

SISC/岩田

「自分の好きなようにできる」って、なかなか一般的に企業ではできないことだと思います。お兄様が示すビジョンを現実的に落とし込んで、ステップを踏んで進めていらっしゃいますね。実行するプロセスをちゃんと計画されているのが、中島さんだと思います。

実際の業務ではどのようなDXの取り組みをされたのでしょうか?

中島さん

1つ目は、「レジデータやオンラインショップの販売データの分析」です。
商品の販売戦略立案や、新商品の開発に活用するためにしています。
2つ目は、「牛群管理ができるアプリやえさ押しロボットの導入」です。
健康状態改善による生産量の増加を目指すしています。
人工知能を活用した牛向けウェアラブルデバイスの導入もしています!

DXへのイメージと工夫点

SISC/岩田 

DXに対するイメージって、これまでの取り組みを始める前と、今とではどう変わりましたか?

中島さん

前職でHPを制作する会社にいたので、HPやSNS発信には抵抗はありませんでした。
なので自社の取り組みやチーズを発信することは最初からしていました。

やっているうちに、会社の規模も大きくなってきて一人ですることに限界がきたんです。他のスタッフにもできるようにしたい!と考えるようになりました。

そのときにDXという言葉を知って、自分だけじゃなくてデジタルの力を借りて「仕組化」ができるという考え方を知ってよかったと思います。
会社の規模も大きくなってきて、スタッフの数も増えてきてとなると、自分以外のスタッフにもできるように仕組化が必要になったんですよね。

 

SISC/岩田

前職での経験が活きてると思います!
中島さん自身、スマート化センターの研修を受けていただいたり、ご自身で学んでいらっしゃいますが、受講してみていかがでしたか?

中島さん

以前SAGA Smart Samuraiを受講しましたし、直近では佐賀県産業スマート化センターのデータ活用研修を受講しました。
受講してから、「あ!自分でもできるんだ!難しいものではないな!」という感覚がつかめました。
「考え方次第で自分でもできる」と思えたことが一番大きいです。

岩田/SISC

実際の業務での具体的な取り組みを教えてください!

中島さん

1つ目は、レジデータやオンラインショップの販売データを活用し、データ分析を行っています。これにより、販売トレンドや顧客の嗜好を把握し、商品の販売戦略を最適化することができます。新商品の開発においてもデータ駆動のアプローチを採用することで、市場のニーズに合わせた商品の提供ができます!

2つ目は、牛群管理ができるアプリやえさ押しロボットの導入したことです。作業の効率化と牛の健康状態の改善に注力しています。これにより、生産量の増加が期待できますし、効率的な業務でコスト削減にも繋がり、畜産農家の経済的な持続可能性を高めることができると思います。

店舗だけでなくオンラインショップや、ふるさと納税のチャンネルなどを活用しており、これらを組み合わせいます。
畜産農家としては幅広い顧客層にアプローチできるため、販路を拡大し集客増を図っています!

SISC/岩田

スタッフさんもDXに対して前向きに考えていらっしゃいますか?

中島さん

そうですね。
20代~30代が多いので、デジタルとかDXに対する抵抗はないと思います。
みんな新しいことに取り組もう!と思ってくれています。

SISC/岩田

スタッフさんたちお若いですね!
採用はどのような工夫をされているのですか?

中島さん

発信はInstagram・HP・無料の採用媒体をメインに使っています。
大事にしているのは、業務内容より、「目指している方向性」を伝えることです。
新しい取り組みを発信して、「なんだか面白そうそうだな」と思って応募してくださる方が多いんですよ。
ただただ、作業するだけじゃなくて、楽しそうだなと思って欲しいです。
一緒に考えて、一緒にやっていくイメージを持ってもらえたらと思っています!

SISC/岩田

たしかに、仕事内容が書かれているだけだったり、どんな人と働くのかなどがイメージできないと、応募する側としても不安だったりしますよね。
スタッフさんも安心して働けているんだろうなと思います!

お話を聞いていると、中島さんはすごく行動に移せる方なんだなと印象を受けています。
今後、DXに取り組もうと思っている方にメッセージをお願いします!

中島さん

自分が必要だ!と思わないと、なかなか行動に移せないと思います。
普段の業務をやりながら、社内の仕組みづくりをしたり、データ分析したりと、本当に生産の現場の方は忙しいです。
必要だ、やってみたい!という気持ちが大事だと思いますし、もしうちの取り組みで知りたいことなどあれば聞いてください!

岩田/sisc

ナカシマファームさんの取り組みは、生産現場の方や地方の方のモデルになる部分が非常にあると思います!
今後、チーズの製造記録のデータ化にも取り組まれる予定ですね。
引き続き、センターからもサポートさせていただきます!
本日はありがとうございました。

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