事例紹介

データ活用を机上の空論としないための売上拡大へ

提供:株式会社まいづる百貨店

佐賀県内でスーパーマーケットや書店、コンビニエンスストア等、18店舗の経営を行っている株式会社まいづる百貨店では、これまでも「データを活用した売上拡大」を目指した取り組みを行っていました。一方、現場ではデータの活用等がうまくいっていない状況がありました。 今回はこうした状況を変えるべく、事業へ参加いただき、実際の支援を実施いたしました。

今回の支援事業へ参加するきっかけとなった点や決め手は何ですか

元々DXというよりも「データを活用していこう」という意向はあり、すでに売上や販売に対してこれまでもシステムの導入等は実施していたので、データの蓄積自体はすでに行っていました。その一方、実際にデータを活用したいと思っても、莫大な内容、多種多様なデータがある中で、実際のデータを『どのように見たらよいのか』、『どのように活用すればいいのか』、がわからない状態で、現場も含め、活用ができずにホコリをかぶっていたような状態でした。その状況を変えるべく、DXが直接的にこのデータ活用に結びつくか、わからない中ではありましたがデジタルを取り入れたDXの考え方を取り入れることができれば、事業を変えていく考え方や、現場での実際のデータやシステムの活用につなげていけるかと考え、今回の事業に参加を希望しました。

今回の取り組みの内容について

業務内容や業務量、それぞれの業務のフローの可視化、システムの相関図の作成を実施したほか、実際に店舗に訪問し現場でのデジタルやデータの活用に対してのワークショップを開催し、課題の洗い出しと整理を実施しました。 この活動を通して、実際にどのようなデータが蓄積されているのか、どのようにシステムを活用しているのか、を可視化し、また、それぞれのデータをどのように活用していったらいいのか、具体的に可視化しつつ、各データの意味や活用を検討し、学ぶことができました。
一方で、今回の支援にて大きな問題となっていたのが現場と経営層での課題感やデータ等のデジタルに関しての取り組みへの意識のギャップです。
経営層は、現場が実際にデータの活用を進め、現場の業務量や意識の課題を認識しつつも、『実際にデータを活用した経営を自分たちで行うためには、データの活用の仕方がわからないこと』が課題なのだ、とかんがえていました。
しかし、今回の支援にて活動を行うことで浮彫になった部分は、現場が予想以上に業務で手いっぱいになっており、データやデジタルといった内容に取り組める状態ではない事や、データ活用に関しての意識に予想以上に大きな課題があることがわかりました。
そのため、今回の取り組みでは当初想定していた現場のメンバーによるデータ活用の体制の構築から切り替え、まずは経営層・本部層でのデータ活用やデジタルの活用を目指すことになりました。
実際の支援の中では半日以上かけて支援担当者とともに細かくすべてのデータの意味を読み解いたり、既存システムにおけるデータの見方や活用の仕方を具体的な現場の担当者やシチュエーションを想定して作成したり、といった内容を実施しました。
このような取り組みでデータやシステムの有効な活用方法を学ぶ活動を実施することで、最終的には今後の現場も含めてDXを推進し、データやシステムを活用するための具体的な方針や計画の作成を行ったほか、データを活かした併売での効果的な販売計画の作成を検討することまで進めることができました。

今回の支援を受け、よかったと思うことや感想を教えてください

もともとデータ活用に向けてシステムの導入等を進めていた中において、現場にて「なぜデータが活用がされていないのか」といった問題が『データの見方や知識ではなく、現場での意識の醸成や現場とのギャップが想定以上にあること』がわかったことが、最もよかった点です。
当初は、経営層を行っている本部側はデータ活用を行っていきたい意向もあり、『現場もデータの見方や活用の仕方がわかるようになれば、実際に活用をしていくことができるようになる』と考えていましたが、現場でのワークショップなどへ取り組む中で、どうしても現場は今やっている業務、目先の業務が最優先であり、データ活用自体を業務として取り組むには、まだまだ難しい状況がありました。
今回の支援を受けて取り組みを進めたことで、このような課題の状況を理解し、現場でのデータの活用のためにはまずは現場の意識醸成をするべきだ、ということに気づけたのはやはり大きな点であったと考えます。
経営層にて『これはいいものだ』と思っているような取り組みでも、現場の方々が納得し、取り組むことができなければ、自身で活用していく体制は作ることは難しいです。DXを進めるためには、もちろん『コスト』という問題もあるので、経営層の移行や決断といったものも必要ではありますが、実際のDXの現場に立つのは現場で実際に業務をされる方々であって、現場の方々の納得感を得られるようにすることの重要性を感じる部分でした。
もちろんデータの活用自体は実際の販売を行っている方々も、よいものだと思ってもらうことはできました。
ですが、どうしても小売りを行っている現場の状況と対したときに、データだけで導き出した答えにはギャップがあります。
例えば、玉ねぎの販売データに対して関係がなさそうな商品の販売データが上がっているという関係性を示すようなデータがあったとしても、販売を行っている現場からしてみると『たまたま特売日があって』などの状況があります。
今回の支援は、このような現場とのギャップに対してデータの見方を学びつつも、データの中身を見て現場の状況とすり合わせていくこと、分析して作成した内容を机上の空論にしてしまわない事の重要性や難しさを感じた部分でした。
また、DXというとシステムの中身やデータといったシステマチックなものをイメージしがちであり、支援開始前はそのようなものを想像してしまっていました。
ですが、今回の支援を通して感じた内容としては、実際は『DXで「こうしたい」「こうなりたい」』といった意識』の部分の方が重要なのだだと感じ、この意識さえあれば、実際のシステムやツール等をうまく活用していくことができると感じました。

今後目指していきたい将来像等あれば教えてください

自社にてデータ活用を進めていくには、まずは現場に入ってギャップを埋める事やデータ活用への意識を醸成するからはじめ、しっかりと有効なデータ活用ができる環境を整えていきたいと思っています。
また、将来的には現場自身がデータを見て、自分たちで効果的な戦略を作って活用していくことを目指しており、現場の方々が自分たちでデータの活用等を行っていけるようになれば、現場の力は大きく伸びると考えています。

今後DXに向けて取り組まれる方へのメッセージ

現場だけ、上層部だけが「DXを進めたい」と思ってもなかなか進まず、うまくいきません。
「なぜDXを進めていきたいのか」「DXを進めることでどのようなことができるのか」「どのような利点があるのか」といった内容に対して、現場を含めたすべてのスタッフがしっかりとした納得感を持ったうえで、DXに取り組んでいくことで、DXを進める事ができると考えます。
ぜひ、「どのようになりたいのか」「どのようにしていきたいのか」を意識したうえで、上層部や経営層、現場層が共に納得感を持ったうえで取り組みを進めてみてください。


(企業概要)
企業名:株式会社まいづる百貨店
住所:〒847-0034 佐賀県唐津市中原2905-5
事業内容:総合スーパーマーケット/食品スーパーマーケット /衣料専門店 /コンビニエンス/書店/シャンリー唐津(中国料理店)

R6年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社フォーバル九州支社

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