
デジタルを活用した事務作業の効率化とデータ活用のための基礎の整備へ
提供:有限会社在宅介護お世話宅配便
『出会ったすべての人を幸せにしたい』を経営理念に、1989年から佐賀県内で介護事業を実施している有限会社在宅介護お世話宅配便様では佐賀県内に多くの拠点を構え、事務作業を効率化し、将来的に現場業務と事務作業の分業化を目指していました。今回は効率化のための取り組みとして、業務の可視化とDXに向けた基礎の作成と計画の作成を実施しました。
本事業に参加した経緯
元々DXというところに対しては「必要であり進めたい」という思いがある中ではありましたが、DXを自社のみで進めるのは難しく、コストをかけてやっていくこともなおさら難しい中にありました。
そんな中、今回の支援事業への声掛けをいただき、成功事例を作っていき、会社として取り入れていく中で円滑に取り入れていく流れが作れたらという思いがあり参加しました。
また、本事業への参加のきっかけとしてはシフト表の作成に関しての事務作業の効率化がありました。
介護業界ではシフト表の作成にあたり有資格者の配置や日勤・夜勤の考慮、厚生労働省への提出資料の提出等の多くの配慮すべき点があります。その一方、これらの資格情報等に関しては情報が属人化してしまっており、各施設の一定の担当者しか実施できない業務となってしまっていました。これらの属人化したデータや業務をデジタルへ置き換えて効率化していく取り組みが必要だと感じていました。
介護業界では価格等の面での競争といった考え方が適していない面が多くあります。その中で他の施設と差を生みだしていくための取り組みは、現場での介護の充実度を挙げていくこともありますが、差を生みだせる取り組みの部分は事務の業務の効率化だと思っており、この事務的な業務の効率化には終わりはないと思っています。
また、これまでもシステム担当として担当人員を採用・配置していたものの、システムの活用等はできていなかった点も今回の事業へ参加した理由の1つです。
今回の支援について教えてください
事務作業の効率化を目指したデータ活用をテーマに、まずは各施設での業務やそれぞれの業務にかかる時間等の可視化から始めました。
可視化した中で、支援開始時の希望テーマの1つでもあったシフト表の作成事務に関しましては多くの時間を費やしていましたが、この原因の1つが業務の属人化でした。そのため、まずは人員配置やそれぞれの施設で活用されているデータをKintoneを活用してまとめる取り組みを実施し、人員配置や業務の属人化脱却のための基礎の作成を実施しました。これにより、これまで、シフト作成担当となっているスタッフしか把握していなかった社員の保有資格や、社内のどこにどのような人が配置されているのか、をデータ上から見ることができました。
これだけでも、今後DXを実現し、脱属人化と事務作業の徹底した効率化や社内データベースの構築のためにはとても大きな取り組みとなりました。
また、データを活用して複数施設間での連携の事例として、各施設の人員配置や車両管理(運転日報)の作成、BCP対策、防災備品の品目や期限の管理のための支援も同様にKintoneを活用して実施しました。アプリの開発方法やデータの管理についてのレクチャーを行いながら、各情報をデータベース上で管理するための基礎となる部分を今回の支援にて整備することができたため、今後は効率化された点やデータを活用する手法を事例として社内で横展開していき、企業として目指す将来像を具体化し、自走して進めていける体制を作っていければと考えます。
実際の支援を受けて、よかったと感じることを教えてください
実際に支援を受けて感じた事としては、支援をしていただく前からDXをしたいと考えていた中において『課題の洗い出しがまだまだ甘かったんだな』と感じたところと、自社の状況をしっかりと見つめなおす機会になった点がよかった。どの部分に対して進めていく余地があるのかという部分がわかり、目標としてかかげて作成していくことができたことがよかったです。当社では担当者の意見という部分には重きを置いているので、今回実際にアプリ開発やシステムの開発を担当した担当者が今回の支援での実施内容を今後『使っていきたい、使うべき』と思える考え方を持つことができたのは、1つの大きな成果だったと考えています。
実際の支援での効果について
今回の支援では実際にツールとしてKintonを入れて自分でアプリ開発を実施していけるように環境を整え、運転日報やBCP対策、人員配置等の部分でシステムを活用しました。これによって業務の効率化のために必要な部分が見えたことが効果の1つです。また、社内のDXやシステム関連の担当者が効果を実感しており、今回導入したシステムを今後も続けて活用していくかは今後の社内の状況に合わせてになりますが、社内でこれまで効率化できていなかった部分を効率化していくための社内での成功事例の一つとして今後も事務系の業務の効率化を進めていきたいです。
今後のDXに向けてやってみたい事を教えてください
“すべて”を前に進めていかなければならない、生産性を挙げていく取り組みは進めていかなければいけない、という意識があります。
事務作業というものは、すべてが効率化が必要で効率化するものだと考えており、人の手をどれだけ煩わせずに実施するかという部分が必要意義であると考えています。現在、開発について勉強中ではありますが、今後は自社にて自社専用のシステムを作成し、各施設へ事務担当をつけ、本部側ではデータを蓄積して連携可能なビックデータを作成・活用して書類などの事務的な業務はタブレット端末等ですぐに作業できる体制を整えたり、ゆくゆくは事務所に2、3人いればタブレット等で事務的な内容はすぐに引き出し、簡単に必要な事ができるようになることが目標です。また、効率化によって、社内で大きな費用となっている人件費の削減につなげることができ、実際に削減ができれば利用者の方々や社会・社員にもより大きな価値の還元ができるようになると考えているので、経営理念を曲げることなく“すべて”のことへの歩みを止めないでDXについても進めていくということが大切というように考えております。
(企業概要)
企業名:有限会社在宅介護お世話宅配便
住所:〒847-0824 佐賀県唐津市神田2074-3
事業内容:介護サービス
R6年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社フォーバル九州支社