事例紹介

「責任はとる、好きにやれ」経営層の覚悟と現場の熱量が組織風土を変える

提供:株式会社マベック

創業40周年を迎えるマベックは、100年企業を目指す戦略としてDXを推進。驚異的な速さで「DX認定」を取得し、改革の土台を築きました。その背景にあるのは、若手・中堅チームの熱量と、それを全面的にバックアップする経営陣の姿勢です。伊藤会長、坂口社長、そしてプロジェクトチームを牽引する古賀・江口両部長と荒木主任にお話を伺いました。

失敗の連続と「埋もれた資源」の再発見

中島/SISC

全社でDXへ取り組もうと意思決定されたきっかけは何だったのでしょうか?

伊藤会長

正直に言うと、最初はDXについて詳しくは知らなかったんです。ただ、40年の歴史の中で、最初は手書きの台帳から始まり、仕事が増えるにつれて請求ミスや入金管理の混乱など、人海戦術で凌ぐには限界を感じる失敗の連続がありました。そのうちDXというキーワードをよく聞く時代になってきて、トヨタ生産方式の話を聞いたり、ゴルフのデータ管理の話をしたりする中で、「勘や経験だけでなく、データに基づいた管理が必要だ」という実感を持つようになりました。

中島/SISC

DXへの取り組みを始めるにあたって、どのような課題認識をお持ちでしたか?また、具体的にどのようなステップでDXや業務改革を進めていこうとお考えですか?

坂口社長

私たちマベックには、人的資源や時間といった「埋もれた資源」があるのではないか、それを掘り起こすのがDXであり業務改革ではないかと考えていました。 ただ、何から手をつければいいのか、優先順位が分からなかった。そこでスマート化センターに相談し、まずはDX認定の取得と勤怠管理やペーパーレス化などの法対応も含め、必要な足元の課題から着実に進めることにしました。その後のステップでは、さまざまな課題に対応するために、必要なツールを導入したり、社内に眠っている「埋もれた資源」を有効活用するための対策を講じていくことになります。その際、どのツールを選ぶべきか、どのように導入を進めるべきかといった選定や推進の部分で、スマート化センターや支援事業者の力を借りながら進めていきたいと考えています。

経営層の「任せる」覚悟とユニークなメンバー選定

中島/SISC

DXへの取り組みを始めるにあたって、どのような課題認識をお持ちでしたか?また、具体的にどのようなステップでDXや業務改革を進めていこうとお考えですか?

坂口社長

次の世代に会社を任せていくために、若手を中心とした横断的な組織を作りました。これからを担っていく次の世代である古賀部長や江口部長に成功体験を積んでもらいたいという思いと、「私たち(社長・会長)はあまり入らないようにします」という意思表示でもあります。

中島/SISC

部署を横断して若手社員をメンバーに加えるというチーム編成は、複数の事業を展開し、縦割り組織になりやすい企業には特に推奨したいところですね。経営層の「任せる」という覚悟もそう簡単にできることではないと思います。経営陣としては、どのような気持ちでプロジェクトを見守られていたのでしょうか?

伊藤会長

「インフラや環境は会社の責任として整えるけれど、実際の運用や工夫については費用対効果を考えて自分たちでやってくれ」と、使い方は現場に委ねました。 今までならトップダウンで「このツールを入れろ」と言って終わりだったかもしれない。でも今回は、これまでの経営陣とは違う感覚を持つ若い世代や、外部から来た古賀部長のような新しい視点に任せようと思いました。

中島/SISC

経営層と現場との間に壁ができてしまってプロジェクトが進まないといったケースが一般的に少なくない中で、古賀部長や江口部長のような橋渡し役ができる人の存在はとても重要だと感じます。ほかのメンバーの人選はどのように行われたのですか?

古賀部長

各部署から若手を選んでいますが、実は闇雲に若手を選んだわけではないんです。タバコ部屋や飲み会の席で「なんでうちはこうなんだ」と不平不満を言っているような社員をリサーチして引っ張ってきました。

中島/SISC

不平不満を言っている人を、ですか?

古賀部長

そうです。現状に不満があるということは、裏を返せば「もっとこうしたい」という思いを持っているということですから。実際に話をしてみると反応が良く、自分事として捉えてくれるスピードが早かったですね。

活発な意見交換を生むチームマネジメントと変わりつつある会社の雰囲気

伊藤会長

横で見ていて、あんなに楽しそうな会議はないなと感じましたよ。普段は無口な男が何か意見を言っていたりして、議論が活発に行われている様子を見るのは嬉しいものです。

中島/SISC

そんなに活発な意見交換が行われているのですか!「楽しそう」と思わせる会議なんてなかなかないと思いますが、古賀部長や江口部長はどのようにチームをマネジメントされたのですか?

古賀部長

一番大事にしたのは、「自分たちで決めてもらう」ことです。 例えばシステムのベンダー選定でも、我々が「これにしなさい」と指示することは絶対にしませんでした。自分たちで議論して決めないと、導入した後に「やらされている」感覚になり、責任を持って運用できませんから。 私の役割は、彼らがやりやすい環境を作ることです。「失敗しても責任は私が取る。お金のことは心配するな」と伝え、あとは進捗管理と、議論が詰まった時に背中を押してあげることだけに徹しました。

江口部長

古賀部長が「責任は俺たちが持つ」と言い切ってくれたおかげで、若手メンバーも萎縮せずに意見を出せたのだと思います。坂口社長がおっしゃる「次の世代」について、私たちの年代を「次の世代」とすると、集まった若手メンバーは「次の次の世代」にあたります。私たち「次の世代」は、「結局変わらないのではないか」と考えがちですが、「次の次の世代」である若手メンバーは、非常に素直に多様な意見を出してくれています。以前の当社の文化では「自分の仕事さえしていればいい」という傾向がありましたが、今回は部署の垣根を越え、会社の将来について真剣に考えてくれているのです。

中島/SISC

現場の雰囲気にも変化は見られますか?

江口部長

うちは建築やビルメンテナンスなど4つの業種があり、これまでは完全に縦割りのセクショナリズムがありました。 しかし、このプロジェクトを通じて部署横断で話をすることで、だんだんとその垣根が取り払われてきたと感じています。相手の業務を知り、相互理解が深まることで、組織としての相乗効果が生まれ始めています。

古賀部長

普段は意見を言わないような社員が、プロジェクトを通じて積極的に発言するようになりました。 自分たちで悩み、選んだシステムだからこそ、導入後も一生懸命に取り組む。そうした主体性が、あの「楽しそうな会議」の熱量に繋がっているのだと思います。

わずか数ヶ月で「DX認定」取得。スピードの秘訣は?

中島/SISC

DX認定の取得は非常にスムーズだったと伺っています。

荒木主任

最初は8月頃に戦略書の叩き台を作り、そこから修正を重ねて申請しました。審査機関からは少しの修正指示がありましたが、2026年1月1日付けでDX認定を取得しました。

伊藤会長

叩き台を早く出す、ということが良かったんじゃないでしょうか。早く出して早く叩かれたらいいじゃないかと思っています(笑)

中島/SISC

実務を担当された荒木さんはプレッシャーや苦労することも多かったのではないかと思いますが、どのように乗り越えられましたか?

荒木主任

最初はDX戦略書の作成など、経験のないことばかりで、難しかったです。ただ、外部の伴走支援者に入っていただいたり、部長たちが会社の歴史や方針を共有してくれたりしたおかげで、なんとか形にすることができました。

中島/SISC

外部の相談先があったことで、特に助けになったことはありますか?

荒木主任

特に、DX認定制度の内容把握や資料の読み解きについても、外部の相談先があったことで翻訳的なサポートが得られ、大変助かりました。一人ではもっと時間がかかったし、内容もそこまで詰められていなかったと思います。

中島/SISC

このDX認定取得の取り組みが、社内にもたらした良い影響はありますか?

古賀部長

荒木主任が作った「DX戦略書」がプロジェクトの軸になり、迷った時に立ち返る場所になっていると思います。全社的な視点で話し合えたため、これまでは部署ごとに進めていたシステム導入も前に進みやすくなりました。

新たな企業文化を形成していく会社のエンジン

中島/SISC

最後に、このプロジェクトを通じてどのような会社にしていきたいか、展望をお聞かせください。

伊藤会長

40年の歴史を踏まえ、今こそ業務のあり方を見直し、変革を起こすべき時期が来ていると感じています。変革に必要な全員が参加できる環境づくり・インフラ整備は会社として責任をもって整えるので、その先でプロジェクトチームをはじめとする現場の皆さんひとりひとりが考え、実行していくことを期待しています。

坂口社長

DXは単なる効率化だけでなく、人が働く環境を良くするためのものです。浮いたコストや時間を人への投資や採用に還元し、自立して成長できる組織になることを願っています。

江口部長

今回は物理的な距離の問題があって福岡や鳥栖の営業所からはメンバーを入れられていないので、どこかで彼らも巻き込んだ形でやりたいなと考えています。最終的な目的は、マベックの企業文化、マインドを変えることです。このプロジェクトチーム活動が当たり前の風景になり、何か課題があれば自然とメンバーが集まって解決策を議論する。そんな組織力がつけば、経営にとっても大きな財産になると信じています。

古賀部長

このプロジェクトチームは、会社にとってエンジンと言っていいような存在です。現在はこのくらいの人数が適切だと考えていますが、今後はさらにメンバーを増やしていけたらと思っています。チームメンバーが、まるで分子のように他の社員へと影響を広げ、会社全体に浸透していくことを期待しています。

荒木主任

年齢や職種に関わらず、意見が出やすい雰囲気を作りたいですね。「自分の部署ではこうだったよ」といった知見が共有され、活発な議論ができる会社になればいいなと思います。

マベックオフィス

インタビュー中、伊藤会長が「あんなに楽しそうな会議はなかった」と語ったのが印象的でした。トップが「責任」と「環境」を保証し、現場が「主体性」を持って挑む。マベック様の事例は、ツール導入以前に、組織としての信頼関係がいかにDX推進のエンジンになるかを教えてくれました。

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