「行かなければ」から「行きたい」へ 地域に選ばれるカーライフ拠点へのDX転換
提供:株式会社 平岡石油店
RYO-FU BASEでは、県内企業に対するDXの取り組みの一環として、DXアクセラレータとして伴走することで、経営課題の整理やその解決への取組の企画立案を支援しており、最終的には、企業自らが自走して DX を進めることができるようになることを目指しています。 今回は、株式会社 平岡石油店の取り組みについてご紹介します。
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既存システムを活かしたデータ集約と業務可視化を進め、紙業務や属人化していた管理体制の見直しに取り組んでいました。
数値に基づく経営判断と業務効率化を実現し、来店動機を「必要」から「行きたい」へ転換する店舗づくりと、価格競争に左右されない高付加価値経営を目指しています。
多角化するカーライフ事業と事業承継期におけるDXの必要性
創業以来、ガソリンスタンド事業を基盤としながら、車検・整備、保険、レンタカー、板金、タンクローリー事業まで幅広く展開してきた株式会社 平岡石油店は、「トータルカーライフサポート」を掲げ、給油から整備、修理、保険対応まで一貫した支援体制を構築しています。地域密着型の事業運営により安定した顧客基盤を築いてきましたが、燃料価格の変動や社会情勢の影響を受けやすい業界特性の中で、経営の見える化と業務効率化の重要性が高まっていました。
事業承継のタイミングを迎える中、従来の経験と勘に依存した管理体制からの転換が必要であるという認識が社内で共有されていました。デジタル技術は導入しているものの、全社的な戦略としてのDX推進には至っておらず、点在する取り組みを統合する必要があると考えていました。
進めていたデジタル化と残存する紙業務のギャップ
事業参加以前から、幹部社員へのパソコンやタブレット端末の貸与、社員へのスマートフォン配布、クラウドストレージの活用、社内コミュニケーションツールの刷新など、段階的なデジタル化を進めていました。Google Workspaceの導入により、チャットやカレンダー、オンライン会議、クラウドストレージを統合的に活用できる環境が整いつつあり、情報共有の利便性は向上しています。また、MEO対策などのデジタルマーケティングにも取り組んでいました。
一方で、帳簿や申請書類、伝票などの紙業務は依然として多く残り、経理処理も手入力が中心で二重作業が発生していました。さらに、各業務システムにデータが分散していたため、経営数値の全体把握には手間がかかる状況でした。個々のデジタル施策は進んでいましたが、全社的に連携した戦略的なDX推進には至らず課題感がありました。
可視化から始まった経営管理と組織文化の変化
本事業への参加を通じて最も大きな成果は、経営および業務の可視化です。これまで月次で最終粗利のみを確認する運用が中心でしたが、クラウド上でのデータ管理へと移行し、リアルタイムで数値を把握できる基盤づくりを進めました。各部署がローカルで管理していた情報を統合し、自動集計や自動出力が可能な仕組みへと段階的に移行をしています。数値の更新状況や推移を即座に確認できる環境が整い、判断までの時間短縮にもつながりました。
社内では、感覚や経験に頼る議論から、実数値に基づいた会話へと変化が生まれています。会議や打合せの場に自然とデータが持ち込まれるようになり、「目隠し経営」からの脱却に向けた兆しが見え、DXは単なるツール導入ではなく、組織文化や意思決定の在り方を変える契機になっています。
既存システムを活かした段階的なデータ連携と業務効率化
課題解決に向けては、大規模なシステム刷新ではなく、既存システムを活かしながらデータ連携の仕組みを整える方法を選択しました。各業務システムから必要なデータを抽出し、Googleスプレッドシートへ集約することで、経営判断に活用しやすい形式へ再構築しています。
関数やマクロを活用した自動集計・自動加工の仕組みを整備し、手作業中心であった集計業務の効率化を進めています。これにより数値確認の手間が減少し、担当者の作業時間短縮にもつながりました。さらに、OCR機能を活用した帳簿保存のデジタル化にも着手しクラウド会計ソフトの導入検討などの段階的な改善を積み重ねることで、現場の負担を抑えつつDXを推進する方針です。
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「必要だから行く」から「行きたくなる店舗」への価値転換
今後の展望として挙げたのが、『来店動機の転換』です。従来は「給油や整備のために仕方なく来店する」というマイナス需要が多い業態でしたが、「行かなければならない」から「行きたい」と思ってもらえる店舗づくりを目指しています。価格競争に左右されない経営を実現するため、ホテルのコンシェルジュのような接客品質の向上、待ち時間対策、店舗での過ごし方の質の向上など、顧客接点の価値を高める取り組みを構想しています。加えて、店舗空間の快適性向上やコミュニケーション機会の増加など、来店体験そのものの質を高める視点も重視していく方針です。
さらに取組では、地域に選ばれる企業へと進化するための「攻めのDX」として位置づけました。業務効率化によって創出された時間を活用し、顧客対応やサービスの質を高めることで、単なる利便性ではなく「価値」で選ばれる店舗づくりを進めています。効率化によって生まれた余力を現場に還元することで、より丁寧な接客や提案が可能となり、その積み重ねが顧客満足度の向上やリピート来店の増加につながっていく好循環を生み出そうしています。業務改善を起点にサービスを進化させ、結果として売上や顧客基盤の拡大へとつなげていく戦略です。
顧客ランク制度の導入や対応履歴の一元管理を進め、属人化しないサービス提供体制の構築を行っています。業務効率化によって創出された時間を接客や付加価値創出へ充てることで、スタッフのやりがいと顧客満足を同時に高める好循環の実現を目指してます。
伴走支援がもたらした時間短縮と自走への自信
伴走支援を活用したことにより、同じ到達点に至るまでに数年を要したであろう取り組みを大幅に前倒しできました。外部からの客観的な視点によって課題の優先順位が整理され、具体的な実行計画へと落とし込むことができました。自社だけで検討していた場合には見落としていた可能性のある論点や、優先度の低い作業に時間を割いてしまうリスクを回避できた点も大きな成果でした。さらに、DX認定の取得を通じて、自社の体制や方針を見つめ直す機会にもなりました。認定取得は単なる称号ではなく、社内外に対する信頼性の向上や、従業員の意識改革にもつながります。
また、定期的な打合せや進捗確認の機会が設けられていたことで、取り組みが停滞せず、常に次のアクションを意識したDX推進に取り組むことができました。第三者の存在が適度な緊張感と推進力を生み、DX推進の取り組みを着実に進めることができました。今後もこの取り組みを継続できるように考えています。事業終了後の懸念としては推進力の低下が挙げられていましたが、策定した計画や整理された業務フロー、蓄積されたデータ基盤があることで、自走していくための土台は確実に整いました。伴走支援を通じて得られたのは知識やツールだけではなく、「自分たちでも進められる」という組織としての自信です。事業承継や代替わりの節目にある企業にとって、外部と並走しながらDXを進めることの有効性を強く実感しました。
(企業概要)
企業名 :株式会社 平岡石油店
住 所 :〒847-0821 佐賀県唐津市町田621-1
従業員数:21名
事業内容:ガソリンスタンド事業を基盤としたトータルカーライフサポート
R7年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社フォーバル九州・中四国カンパニー