事例紹介

工場移転に伴うDX実現のための体制整備へ

提供:いきや食品株式会社

生産性向上をめざし、新工場への移転を目指した取り組みを実施する中で、今回の支援へ参加された いきや食品株式会社様では、DXに向けた社内体制の整備やDX認定取得に向けた取り組みを実施しました。

今回の支援事業へ参加するきっかけとなった点や決め手は何ですか

これまでも旧工場では生産性の向上に向けて機能ごとに多くのシステムの導入等を行っていました。今回はこの生産量をより多くするための取り組みとして、新工場への移転を計画しており、移転を目指す中で社内の体制整備やデジタルを活かした取り組みとしてDXへ取り組もうと考えていました。そんな中で、相談等で定期的にお世話になっていた唐津市のイノベーションセンターから今回の支援事業への案内があり、今回の参加を決めました。

支援の内容について

今回の支援でDXに向けて取り組んだことは主に3つです
まずは社内の体制や業務フローやシステム相関図の作成です。
実際に生産性向上を高めるための工場移転計画されていたということもあり、経営計画の作成等はある状態かつ、これまでにも社内にてデジタルツールやシステムを取り入れた取り組みは実施してきている状態であり、「社内にてどのような業務があり、どのようなシステムやツールを使っているのか」「どのような業務に作業時間を要しているのか」「優先して解決するべき課題は何なのか」といった内容を可視化していく必要がありました。

次に実際のシステムやデータの活用に向けた取り組みを実施しました。
データの活用について調査をした結果、社内での過去受注に関しての実績データがうまく活用されておらず、失注等がある状況がみられました。そのため、今回の取り組みでは過去データを活用し、失注を減らすとりくみを実施しました。これにより、売上高を現時点でも1億円以上伸ばすことに成功しました。
また、システム面での相関図を作成し、実際の活用しているもののそれぞれの現状の運用に関して可視化を実施したことで見えてきたことで会計ソフト等のAPI連携やシステムが相互に活用できる環境の構築に向けて、アドバイスをもらい、どのような改善をしていけばよいのかを明確化して改善を検討することができました。このようなソフト面だけではなく、実際のシステム運用においてもハード面にてセキュリティリスク等が発生している状況がみられました。今回の取り組みでは、このリスクの改善を目指し、従来NASにて運用していたシステムをサーバー導入によってサーバー化する取り組みを行いました。これによってこれまで親機PCの電源状態や作業場所といった面で制限されていた労働環境を改善し、より効率的に各システムの利用等が可能となったほか、故障での業務停止のリスクやセキュリティ面でのリスクへ対応することができました。

3つ目はDX認定取得に向けた取り組みです。
今後の生産性向上を目指す中でも、DXの取り組みは重要な取り組みであると考えており、また、今後の自社のブランディングにおいても有用と考え、今回の支援での取り組みとしてDX認定の案内をいただいた際に取り組みを行うことに決定しました。DX認定の取得にあたっては、実際の申請や書類作成等に関して労力を要する部分も多いですが、今回の支援にてDX認定に向けた取り組みについても伴走して「DX戦略」の作成や「DX戦略推進管理体制」の策定、経営ビジョンの公表やセキュリティ面での対策を支援してもらい、取り組むことができました。

今回のDXへの支援を受ける中で感じたことやよかった点は何ですか

支援を受ける前まではDXというと、デジタルツールを導入して業務の一部を改善する事だと思っていました。ですが、今回のように全体業務の可視化などから始めた支援を受ける中で、デジタルツールの部分的な導入はDXではなくあくまでIT化であり、DXとはデジタルツールを導入するような部分最適を行うことではなくデジタルを活かした業務の全体の最適化なのだ、と気が付きました。
当社ではこれまでも自社での取り組みとして、効率化したい業務に特化して部分最適としてのIT関連のツールを導入して活用しており、生産性向上と業務効率の改善に向けて、多くのソフトの導入や活用を行っていましたが、システムの使い方等を覚えるために、やらなければならないことが増えるような状態になってしまっていたのが正直なところでした。今回の支援を受け、DXに向けた取り組みを行う中で、業務フローの可視化や各体制の整備、データやデジタルの活用方法の整理を行い、「社内のどの業務にどのように負荷がかかっているのか」、「社内全体で見たときに自社はどのようシステムをどのような業務に使っていて、どのように機能しているか」を知り、社内の全体を通しての業務フローや作業の流れ、システムの活用を理解し、それぞれの業務における現状のシステム活用での効果を最適な形に変えていくこと、つまり、DXの取り組みとは社内での業務の全体最適をデジタルを活かして行うことが、DXなのだと感じ、理解することができました。
このように、全体を通した最適なデジタルの活用を踏まえたうえで、DXを理解して進めることができたことや、実際の取り組みの中でもデジタルやデータを活かして販売のための計画を作成する事でき、実際に売り上げにも改善が実感できたたことは、今回の取り組みを行う中で一番よかった点です。
また、今回の支援を通し、DXに関して取り組んだことで、従業員の視野としても部分最適としてのデジタルの活用や業務といった考え方から変化し、全体最適としてのデジタル活用を行った業務へと視野を広げて、デジタルを活かした業務改善のためのサイクルが出来始めてきているのも、今回の支援を受けてDXに向けてしっかりとした取り組みを進めたことでできた具体的によかった点の1つです。

今後DXを行う上で目指していきたい将来像が等あれば教えてください

支援の開始時にもお話していましたが、業務効率改善や生産量の向上と合わせ、DXを行うことで得られるようになった時間や人といった経営リソースの余裕を自社での販路拡大や売上拡大へと活かしていく取り組みを実施したいです。
生産性の向上を目指した移転というきっかけの中で、実際に部分的にではなく全体を見た可視化と社内全体の最適化を進め、DXを実現することで、業務の効率化を行い、移転で目指していた生産性の向上を目指した取り組みを今後も実現していきたいと思います。


(会社概要)
企業名:いきや食品株式会社
住所:〒849-5122 佐賀県唐津市浜玉町横田下105
事業内容:食肉加工製造業

R6年度アクセラレータ事業受託会社:株式会社フォーバル九州支社 

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